昨夜、ガレリア座の最終練習。気管支炎がなかなか改善せず、しかも、先日、夕食に食べた餃子の肉汁で口の中をヤケドしてしまって、舌の下(洒落ではない)が真っ白にただれている状態。決して最善とは言えない状況で、本番を迎えることになってしまいました。リスク管理がなってないですね。
とにかく、幕が下りるまで、声を持たせることだけを考えて、本番に臨みたいと思っています。Y氏からも、「今から何か新しいことを加えていくのではなく、今までやった練習での注意を、100%消化できることだけを考えよう」との檄が飛びました。守りに入る、ということではないけれど、ヘンに気負わず、あとは会場や外部スタッフさんに助けてもらいながら、自分の力をきちんと最後まで保持できればいいな、と思っています。
さて、今日は、本番前のちょっと息抜き、ということで、昨日から書いている、のめりこんだ漫画家について。今日は、川原由美子さんと、成田美名子さんのこと。
川原由美子さんは、「KNOCK!」という作品が大好きでした。ちょうど自分が映画にのめりこみ始めた頃だったこともあり、そういう感情移入もあったと思います。あくまでお菓子系の少女マンガらしい画風で、かなり重たいシリアスなドラマを描いていく、というバランスがよかったのかもしれない。
その後、「すくらんぶるゲーム」「前略ミルクハウス」を読みましたけど、「KNOCK!」ほどはのめりこまなかった。こうやって見ると、「KNOCK!」というのはこの人の作品群の中でも異色なんですね。多分、一条ゆかりの、「有閑倶楽部」みたいな、さらっとしたエンターテイメント志向なのかもしれない。画風がお菓子系なので、どうしてもシリアス系に走れない、という所もあるみたいで、一生懸命画風を変えようとした時期もあったようですけど。この人の魅力はなんといっても、描く女の子が無茶苦茶可愛い、という所にあるので、画風を変える、というのは自分の魅力をいったん捨てること。「前略ミルクハウス」では、そういう試行錯誤が見えて、作品の多面性が増した気がしています。
成田美名子さんは、「みき&ユーティ」シリーズと「あいつ」を読んで、これは面白いなぁ、と思い、「エイリアン通り」ですっかりのめりこんでしまいました。登場人物の造型が非常にうまい方で、脇役に至るまで、キャラクターがとてもはっきりしている。自分改革、というテーマも常に明確で、物語も感動的。「エイリアン通り」は、若干中だるみの感があって、「CYPHER」以降はもうフォローしなくなっちゃったのですが、この方も、画力がすごくある方ですね。カラーイラストの色使いや、画面構成のポップさが素晴らしい。
このお二人は、デビュー近くから、代表作に至る作風の変化をリアルタイムで見つめていた漫画家です。そういう意味では、「この人は次はどこにいくんだろう」という期待と不安が入り混じった感覚がありました。20代前半で漫画家としてデビューしたりしますから、作風自体が安定していないんですよね。円熟した漫画家なら、ある程度作風が安定しているので、安心感がある。でも、このお二人の作品を追いかけていた頃には、作家自身が成長していく過程を見守っているような、それが、自分自身の成長にも足並みをそろえているような、そんな「同期」感覚があった気がしています。