大津佐知子ソプラノリサイタル「ただいまのきもち」〜これまでのつみかさね〜

先日の日曜日、うちの女房のリサイタルがあり、娘と私は裏方としてお手伝い。以下、裏方から見た色々を。

女房が見つけてきた会場の、仙川アヴェニュー・ホール、最大140名くらいのこじんまりしたホールですが、なかなかただものではありませんでした。オシャレな外観だけでなく、ガラス張りのロビーには解放感があり、ホールの隅にはゴージャスな家具や、幻の楽器「アルモニカ」が展示されていたり、実に豪華な雰囲気。同じ建物がマンションになっていて、このマンションの普通の一室が、控室になっています。この控室の中にもゴージャスな家具がある。なんとも豊かな気持ちにさせてくれるホール。


ゴージャスなテーブルに普通の電子ピアノ


控室には美人のランプもある。

単に雰囲気がオシャレなだけじゃなくて、音響もとてもよいし、何よりこのホールの売りは、そのピアノ。「ファツィオリ」(FAZIOLI)というイタリアのピアノで、すべてを職人技の手作りで作り上げた、まさにピアノのストラディヴァリウスといわれる最高級ピアノです。これはたとえではなくて、実際、木材はストラディヴァリウスと同じものを使っているのだそうな。重厚な音がする素晴らしいピアノで、ショパンコンクールの公式ピアノにもなっており、1台で郊外のマンション1軒くらいは軽く購えるらしい。終演後、何人かのピアニストの方々が、日本ではめったにお目にかかれない、と写真を撮っていました。

ピアノ含めたホール詳細は、以下の公式ホームページをご覧ください。催事予定には、女房のリサイタルも写真入りで掲載されています。こちら→http://vqh.jp/index.html

裏方としては、お手伝いしてくれた音楽事務所シンムジカ社長M島ご夫妻と、大久保混声合唱団のM月さんが完璧に仕切ってくれて、私はほとんど調整室にこもりっきり。ホールがほぼ満席になる130名近いお客様を大過なくお迎えすることができました。お手伝いしてくださったM島さん、M月さん、ありがとうございました。そして何より、ご来場くださった皆さま、本当にありがとうございました。

集まってくださったお客様の顔ぶれや、女房のプログラムを見て、これまでの女房の音楽経歴の積み重ね、ということを感じる。今回のリサイタルには、「ただいまのきもち」というサブタイトルがついているのだけど、「ただいま」はまさに、「これまで」の積み重ねの結果なんだね。集まってくださったお客様は、女房がずっと関わってきた、ガレリア座、大久保混声合唱団、ジューン・エコー、そして幼稚園のママさん友達から、多摩エリアのオペラ仲間まで、みんな、これまで女房を支えてくれた方々。そしてプログラムも、女房のこれまでの音楽経験を凝縮したものになりました。フランス歌曲にチャレンジしたのは、マンハッタンでの勉強もさることながら、以前から親しんできたフランス音楽や、ガレリア座で上演してきたフランス物のオペラ・オペレッタの影響があるだろうし、木下牧子を取り上げたのは合唱経験の裏打ちがあってこそだし。多様なお客様それぞれの、これまでに対する感謝の気持ちのこもった、ヴァラエティ豊かなプログラムになりました。

今回のリサイタルは、企画、チラシの製作、チケットの販売段取り、会場の予約や練習会場の手配、ピアニストの手配、パンフレットの印刷からチケットの印刷・製作に至るまで、とにかくすべてを女房が一人でこなしました。私は当日、少しばかりの手伝いをしただけ。チケットを一枚一枚カッターで切った娘の方がよっぽど手伝ってたかもしれん。その女房のバイタリティは別として、この企画力や段取りの力、というのも、これまで何度か自主公演を企画し、実行してきた過去の積み重ねがあったからだと思います。当日配ったパンフレットの構成から何から、全部女房が一人でやったのだけど、これも昔出版会社に勤めていた編集者のノウハウが活きているしね。

結局、「ただいま」を支えているのは、すべての「これまで」なんだなぁ、と、本当に実感しました。「ただいま」は「これまで」のつみかさね。そして、「これから」へのステップ。素晴らしい「これまで」をまとめ上げたわが女房どのに。本当にお疲れ様。いいリサイタルでした。ソプラノ歌手大津佐知子の「これから」を、傍で見守っていきたいと思います。


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