リアルとバーチャルがこんなところにも

海外赴任前の研修中で、一気に色んなことを詰め込まれて頭がウニ状態。でも、段々自分の仕事の内容が見えてきて、面白い部分と、逆の意味での不安なども出てくる。情報がないのも不安だけど、集まったら集まったで別の不安が出てくるよね。わくわくどきどき。

ビザの申請手続きをしているんだけど、書類が山のようにあり、それを米国の弁護士が見て、色々加筆訂正したりしてきちんと整えてくれるそうな。学歴、過去の経歴、出生情報から、両親の生年月日まで・・・とにかく細かい情報を大量に集めないといけない。誰かが言っていたけど、米国という国は移民を寛容に受け入れることで成長してきた国なので、以前は、日本の戸籍とか、就職の時の「身元保証人」という制度を指差して笑っていたそうな。「なんて封建的な制度だ」「個人の能力だけが問われるべきなのに、なぜわざわざ保証人を立てる必要がある」・・・でも、911テロ以降、「日本の身元保証人っていう制度はいいねぇ」なんて言い出している人が、英米に増えているんだって。女房の両親の生年月日まで書類に書き込みながら、情報がない不安、ある不安についてふと考えたりする。完全に不安を払拭することなんか無理なんだけどなー。

私が申請するビザには結局不要だったのだけど、大学の卒業証明書が必要との誤った情報を得て、慌てて大学の教務課に行く。久しぶりに行った大学には、見慣れない新しい建物が建っていて、私が学んだ頃とは随分と趣が変わっていたのだけど、教務課に向かう校舎の中に一歩足を踏み入れると、埃っぽい匂いがまるで昔のままで笑ってしまう。

匂いっていうのは、いくらバーチャル技術が進んでもどうしてもリアルに追いつけないものだ、というのは、以前この日記にも書いたけど、学校の校舎の匂いっていうのは特別に記憶の襞に沁みついている感覚がある。教務課に置かれていた証明書の申請書が、コピーにコピーを重ねた安っぽい申請書で笑ってしまう。こういう徹底的に実用主義というか、お役所的な所も変わってないねぇ。

大学に向かう道の途中でOgiちゃんに偶然すれ違ってびっくり。普段メールやブログでやり取りしている相手でも、やっぱりリアルに顔を合わせるのは嬉しいもの。二言三言しか話せなくて失礼しました。お元気そうでなによりです。

リアルとバーチャル、という話では、トヨタのリコール問題というのも、リアルとバーチャルの間をつなぐ部分で起きた、という記事が雑誌に出ていて、なるほどな、と思う。昔は、アクセルもブレーキも、物理的にエンジンやタイヤというリアルに直接結合していた。なので、踏んだときの反発力というのは、物理的なリアルと結合していた。でも、プリウスにおいては、アクセルやブレーキが、直接エンジンやタイヤに結合せず、制御システムを起動させるための電子スイッチと化している。ただ、それだと人間の操作感覚になじまないので、電子スイッチに、「バーチャルな反発力」を与える。

要するに、プリウスのアクセルやブレーキというのは、TVゲームのコントローラーのようなもの。そこに感じる「手応え」は、リアルにつながっていない。そこに罠があって、バーチャルに生み出された「手応え」が、リアルの世界での「急発進」という現象とずれてしまう。

なんだか取りとめがないですね。すみません。ネット上で色んな情報を得るのもよし、大量の申請書で文字情報を集めるのもよし。でも結局は、「匂い」で感じること以上のことってないのかもしれない。同じ空気、同じ匂いを感じながら、街角で交わした二言三言の方が、よほど心に残るかもしれない。そういう体験を、地球の裏側で沢山積み重ねていければ、と思います。

ワンダフルワンコ 5話・6話もね!!

第5話「カキ?」

第6話「好物は」