キャパオーバーで睡眠不足

昨日は1月のガレリア座公演「ウィーン気質」の舞台裏活動で一日過ごす。今回の公演では、私は歌い手ではなくて舞台監督として参加しています。合唱団の演奏会の舞台監督は、かなり回数を重ねているのですが、オペレッタの舞台監督は久しぶり。自分がプロデュースした2002年のガレリア座公演以来ですから、もう7年になるんだなぁ。おかげですっかり感覚が錆付いていて、なかなか現場感覚が取り戻せていません。

合唱団の演奏会の「ステージマネージャ」と、オペレッタの「舞台監督」というのは根本的に違う仕事で、特に後者の場合、舞台装置の手配とその設営や配置の段取り、という作業が入ります。演出家のイメージと、美術監督のイメージと、本番会場の設備の状況をすり合せながら、現実的な設営段取りや必要な道具、搬入の段取りなどを決めていかないといけない。今回、搬入の段取りなどを演出補佐のAちゃんにお任せしてしまっていて、自分は結構のほほんとしていたものですから、直前になってバタバタ。現場感覚が失われていることを露呈してしまいました。いかんいかん。

昨日1日のうちに、午前中に外部業者さんとの打ち合わせをやり、午後には通し練習を見学し、夕方から舞台装置の搬入搬出、という盛りだくさんなメニューを詰め込んだのですが、舞台の全体像をきっちり把握できていなくて、色んなところでキャパオーバ状態になる。通し練習でも、自分で決めた舞台装置の配置が今一つ頭に入っていない。舞台全面を使う群舞のあと、合唱団の人たちが舞台装置を並べなおす、という段取りがあって、私が指示した通りにちゃんとみんなで置いてくれたのに、「あれ、違う」と思って慌てて修正に行って、「あ、間違えた」とまた戻しに行く、という醜態を演じてしまう。ちゃんと設置してくれた団員さんは不愉快だっただろうなぁ。ごめんね。

通し練習を見学した後、夕方から運搬作業。都内に点在している道具類を、ガレリア座の仮倉庫になっている小金井市某所に集約する、という作業です。2トントラックを借りて、人足の方々と一緒に作業。色んな所に置いてある道具を、「あれ使うよな」「これも持っていこうか」などと道具帳とにらめっこしながら搬出・搬入していきます。ボランティアの人足さんたちの協力と、旧団員のHちゃんご夫婦のご協力もあって、作業はとてもスムーズにすみました。

舞台監督という立場で一番怖いのは、出トチリとか、舞台上で役者さん同士がぶつかって怪我をする、といったトラブルです。なので、団員さんたちには、とにかく気持ちの余裕を持って、舞台全体を見渡しながら、次に何が起こるのか、そのためには自分はどういう準備をしないといけないのか、先回り先回りをして対処するようにお願いをします。そんなことを皆さんにお願いしながら、実は結構、私自身が、久しぶりの舞台監督で心の余裕がない。これから本番までの間、何度も頭の中で舞台や転換のシミュレーションを重ねて、懸案事項を事前につぶして、全体を見渡せる心の余裕というか、余白部分を作っていかないといけません。

そういう余裕の無い状態での盛りだくさんな一日だったものだから、割と早めに帰宅したにも関わらず、夜、布団に入っても目がさえてしまって眠れない。女房に、「知恵熱状態だね」とあきれられてしまう。おかげで完全な睡眠不足で、ふらふらしながら会社に来ています。まだ本番まで一ヶ月、自分の中のノリしろ部分をしっかり確保しなければ。