いい声だからって

以前、「人は見かけが9割」という本の感想文をこの日記に載せたことがありました。それと同じように、人の声が与える印象、ということを、雑談風に少し考えてみる。単純に言ってしまえば、「顔がいいのと声がいいのと、どっちが得かしら?」という、下らないお話をだらだらと。

「風邪引き男と目病み女」という言葉を聴いたことがあります。風邪を引いて、少しハスキーな低い声になった男、というのは女性にもてる。目が悪くて、少し涙目に潤んだ目で、どこを見ているかよく分からない女、というのは男性にもてる。

異性の魅力を捉えるとき、男性は視覚による部分がかなり大きく、女性は聴覚による部分がかなり大きい、という話も聞いたことがあります。「風邪引き男・・・」というのと同じ文脈のような気がするね。要するに、女性にアピールするのに、男性のハスキーな低音、というのが効果的で、男性にアピールするには、すこしうるんだ目で見つめられる、という視覚的アピールが効く。さらに進んで、「女性は左脳より右脳の方が発達しているから、女性の左側から話しかけた方がモテる」なんて言って実践している優男がいたな。そんなことを考える前にもっと考えることがあるのじゃないのか。

となると、「顔がいい男」よりも、「声がいい男」に分があるってことか?なんて思ったりして、私みたいな、顔は悪くても、声はわりと褒められることが多い、という人間は、ちょいと希望を抱いたりする。でも、なかなかコトはそう簡単にいかない。いい声をしていればそれで周りが納得してくれるか、というとそうでもない所が難しい。いい声の人、通る声の人、というのは、一種それがアドバンテージになっている部分はあって、まず人が耳を傾けてくれます。それは確かに大きなメリットだとは思う。

でも、いい声の人が下らない話をすることほど鬱陶しいことってないんだよね。いい声だから思わず聞いちゃう。耳に入ってしまう。でも中身がない。そうすると、なまじっか耳に入ってくる分だけ、騒音に近い扱いになってしまう。昔、大学の後輩の可愛い女の子に、「私、耳元でバスの声でささやかれると、腰砕け状態になっちゃうんですよねー」と言われて、バスの私は舞い上がってしまったことがあったが、あっさり振られたなぁ。僕の何がいけなかったっていうのだぁぁぁ。この暑苦しさが敗因かぁぁぁ。うるさいっての・・・ということになっちゃうわけだね。

普段の喋り方から、素晴らしくいい声で、イントネーションや間の取り方にとても濃淡をつけて、「芝居がかった」喋り方をする人っています。でも、そういう芝居がかった喋り方で、すごく下らないことや、耳を傾けるに値しない話をされると、聞かされる側は相当苦痛なんだよねー。私もよく言われることだから気をつけないといけないんだが。

いい声で語られる充実した物語、というのは、本当に人を惹きつけますけど、いい声で語られる下らない物語、というのは、悪い声でよく聞こえない下らない物語よりも、耳に入ってしまうという点において迷惑度が高い。「いい声ですねぇ」と言われることって、ある意味嬉しいことなんだけど、上のように考えていくと、意外とマイナス面もあったりする。

これが、いい顔をした男ってのは、黙って立っていてなるべく喋らない、という手段がある。顔が悪くていい声をした話の下らない男と、顔がよくて声のよくない話の下らない男、だと、やっぱり顔がいい方が分がいいよねぇ。がんばれ〜。誰への応援だ。

私の女友達にもいるんですがね。とってもたおやかな美人なんだけど、喋らせるとアヒル声で、下らない話ばっかりしている女。お前は黙って立ってるといい女なのになぁ、なんてみんなに言われるんだけど、美しい外見と話のくだらなさのギャップがかえって人気になっていたりする。

・・・とつらつら書いてきたけど、結局どう考えても、顔がいい方に分がある気がするやね。こんなことを書いているのは、会社の同僚で、気の毒なくらいみんなから「声がうるさい!」と怒られている人がいるせい。この人が本当に素晴らしい声の持ち主で、クラシック歌唱を学ばせたら素晴らしいバリトンになるんじゃないか、と思うような人。思うんだけど、話が下らない。話が下らないだけなら、こんなに、「うるさい!」とみんなに言われなくてすんだだろうに、声が無茶苦茶いい声で響き渡るもんだから、余計にみんなに「うるさい!」「くだらない!」と言われちゃってる。

ということで、「声がいい」というのはよしあしだけど、「顔がいい」というのはプラス要素ばっかりだね、という当たり前の結論にたどり着いてしまいました。ついでの話だけど、アルトの女性の声、というのは、非常に快適に耳に響く気がします。これは私の好みなのかもしれないけど、NHKの女性アナウンサーの声などを聞いていると、割とソプラノ系よりもアルト系の人が多い気がする。カーペンターズがあれだけ万民に受け入れられたのには、カレン・カーペンターの豊かな低音の魅力によるところが大きい、というのは定説。

・・・なんともダラダラな話ですみません。こういう脈絡のない話を、デカイ声でだらだら喋ってるからモテないんだよなぁ・・・