「南の島のティオ」〜わくわくしてきたぞ〜

週末、また例によって色々と活動。ぼちぼち書いていきます。

・土曜日の昼、「南の島のティオ」の初練習。わくわくしてきたぞ。
・土曜日の夜、大田区民オペラ合唱団の練習に。昼に結構声を使っていたので、声帯があったまっていていい感じで歌えました。
・日曜日の昼、家族で府中の森に行く。女房は芸術劇場で、自分が演出したママさんコーラスの東京支部大会に顔を出し、私は娘と公園でキャッチボールと、美術館の展覧会を見る。絵に描いたような日曜日のお父さんだよ。
・日曜日の夜、やっと「指輪物語」三部作を見終わる。脇役に感情移入する映画だね。

今日は、「ティオ」の初練習の話を。
 
朗読劇、ということ、一人芝居、ということもあって、ちょっとスタートが遅かったのですが、やっと始動しました、「南の島のティオ」。とりあえず、全体の構成や、BGMを確認する感じで、演出家(女房)と手探りで始める。

演出家が選曲してきたCDがものすごく「ティオ」の世界にしっくりくるCDで、まずそれに感動。何のCDかってのは本番までのお楽しみなので、是非、本番会場で確かめてくださいね。この音楽が鳴り始めた時点で、まずワクワク度がすごく高まる。

朗読劇のしんどいところは、セリフだけじゃなくって、地の文を読まなきゃいけないところ。言ってみれば、お芝居のト書きを読んでいるようなものですね。舞台上には何もないし、何も起こらない。ただ、場面を説明する文章を読むだけで、観客の目の前に情景が展開するような、そんな読み方を見つけないといけない。今までGAGで上演した朗読ものは、全て会話ものだったので、地の文をきちんと読んでお客様に届ける、というのは、実は初めての試み。それがこんなに難しいものだとは思いませんでした。演出家先生も、「期待していたほど上手じゃないなぁ」とのコメント。すみませんねぇ。

さらに、セリフの場面では、一人で複数のキャラクターを演じ分けないといけない。でもその意識が強すぎると、ヘンに声を作ってしまって、それが滑舌の悪さや、響きの悪さにつながってしまう。結果的に、お客様にきちんと伝わらない。お客様にきちんと伝わる響きを持った声と滑舌で、なおかつキャラクターを演じ分けるためには、それぞれの声の色ごとに、自分の響きを保てる体のフォームを作らないといけない。

予想していた以上に大変な作業で、練習していくうちに結構煮詰まってくる。そこを突破しないと前に進めないので、まずはキャラクターをつかみやすい会話の部分で、演出家のイメージする「ティオ」君と、私のイメージする「ティオ」君のキャラクターのすり合わせをやっていく。双方のイメージに懸隔のある部分を埋めていく作業をしていくうちに、キャラクターが段々見えてくる。キャラクターが段々見えてくると、それにふさわしい声の響きも段々に見えてくる。

キャラクターが明確になると、逆に、セリフ部分だけじゃなくって、地の文の声の響きも定まってくる。そうやって、作品の景色や構成が次第に見えてくる、このプロセスがものすごく楽しい。もちろん、苦しい部分も沢山ありますよ。「下手だなぁ」とか、「全然言葉が飛んでない」とか、演出家のダメだしは相変わらず容赦なくて、しんどい局面は沢山ある。でもそこを超えていって、自分の持っている引き出しのあれやこれやを引っ張り出して対応していくうちに、ある時ふっと、南の島の砂浜に笑顔で立っている12歳の少年の姿が、目の前に見えてくる瞬間があるんです。

そういう瞬間はなかなか長続きしなくって、ふっと見えては消え、また現れ、の繰り返し。それをいかに、物語の冒頭から最後まで、つかまえて離さない状態で保てるか。これから本番まで1ヶ月ちょっとしかないけれど、「これをきちんと捕まえることができれば、絶対楽しいものができる」という感じが見えた気がしました。7月8日の本番まで、精一杯励みますので、楽しみにしていてくださいね!