子供を亡くした親の元にも、子供は元気を届けてくれる

週末、この日記にもたびたび出てくる、天使になったFちゃんのお宅を、家族3人でお邪魔しました。29日はFちゃんの月命日なので、娘に、「毎月29日は、Fちゃんを思い出す日にしようね」と言う。娘は、「それはいいねぇ」と言いながら、「29日か。ニクの日だね。」と言う。いや、それはちょっと…

Fちゃんのご両親とお茶をして、数時間おしゃべり。Fちゃんのお母さんは明るく笑ってらっしゃいましたけど、四十九日を過ぎて、色んな行事が終わってしまうと、涙が止まらなくなって本当に辛かったそうです。Fちゃんの妹のYちゃんは、そんなお母さんの涙を、「Yが慰めてあげるからね」と一生懸命拭いてくれたのだって。「Yちゃんがいなかったら、本当に耐えられなかったかも」と、お母さん。

子供、という存在は、親にエネルギーをくれます。希望や夢を与えてくれます。そんな子供が失われてしまった喪失感を、どうやって埋めればいいのか。当事者ではない傍観者の我々は、ただ立ち尽くすしかない。誰一人癒すことのできないFちゃんのお母さんの悲しみを、少しでもやわらげてくれたのは、やっぱりYちゃんという子供の優しさでした。子供の持っている力は本当にすごい。そして、子供は精神的にも、本当に強いと思う。

女房が言うのだけど、うちの娘にとっても、Fちゃんが天国に行ってしまったことは、すごく大きな損失でした。でも、うちの娘の心の中では、Fちゃんを思い出すことと、毎日を楽しく、元気に生きていくことはきちんと両立している。なぜなら、辛いときやしんどいときには、「Fちゃん助けて!」ってお願いすることができるから。新体操の発表会でもそう。Fちゃんの家に向かう道すがら、「もうxxはFちゃん家に1000回くらい行ったね!ずっと友達だったからね!」と元気よく歩いていく後姿を見ながら、Fちゃんは確かに、娘の心の中に生き続けていて、いつも側にいて、娘に元気を与え続けているんだと、改めて感じました。そんな子供の精神力にも、本当に感動します。

少しでも、娘がちゃんと感じているFちゃんの存在を感じてくれたら、と、Fちゃんのご両親に、私の書いたFちゃんのお話をお渡ししました。余計なお節介だったかもしれないけど、お二人とも喜んでくださって、「本当にFは側にいるんだねぇ」と言ってくれました。そう、子供はいつも、親のそばにいて、生きるエネルギーを与えてくれるんです。

Fちゃんのお母さんが、「本当に感動した」と貸してくださった本で、「メイク・ア・ウィッシュの大野さん」という本を、今、読み始めています。難病と戦う子ども達に、「君の本当の願いを一つかなえよう」と活動しているボランティア団体、「メイク・ア・ウィッシュ・ジャパン」で活躍されている方のお話。全身の筋肉を病魔に冒されて、目しか動かせない子供の、「ウルトラマンと一緒に怪獣と戦いたい!」という夢をかなえるために走りまわる大人たち。そしてその夢が実現した時、一番感動して、一番元気をもらったのは、その夢をかなえた子供自身よりも何よりも、周囲の大人たちなんです。子供が、様々な困難を乗り越えて、夢をかなえようとするエネルギーが、周りの人たちを感動させる。周りの人たちにパワーをくれる。

子を持つ親になって初めて、子供と言う存在の持つパワーに、毎日本当に驚いています。明後日の娘のピアノ発表会では、そんな子ども達の前で、女房と、ドン・ジョバンニの二重唱を歌うことになっています。子供がくれる感動へのささやかなお返しに、楽しい歌を歌ってあげられたらいいね。そうやって、君たちがくれる幸せの何分の一かでも、お返しすることができたら、本当にいいね。