言葉の癒し効果

例によって、週末のインプットを並べましょうか。

・土曜日、大田区民オペラ合唱団の練習に。久しぶりに伊藤明子先生にお会いできて感激。こちらを覚えていて下さっていることに(というか、団員の名前を全部覚えている!)さらに感激。
・日曜日、ガレリア座の次回公演の制作発表に。どんな演目になるのやら見当がつかない。
・夜、高熱を出し、七転八倒
・月曜日、会社を休んで病院へ。待ち時間の間に、村上春樹スプートニクの恋人」を読了。
・午後眠りすぎて、夜なかなか寝付けず、見逃していた「攻殻機動隊」を見る。原作を読んでみようかなぁ。

今日は高熱のこと。
 
日曜日、「またこういう日々が始まるねぇ」と女房と言い合いながら、ガレリア座の制作発表の場へ車を走らせる。写真展示販売会の準備などもしないといけなかったので、ちょっと早めに家を出て、会場に着く。会場のエアコンの効いたロビーで待っているうちに、急に頭がぼおっとし始める。40年も生きていると、熱のある時の感じ、というのが大体分かるものですよね。「あれ、やばいな」と思うと、どんどん体調が悪くなってくる。

会場の事務所に泣きついて、体温計を借りて計ってみると、38.5度。休憩室のようなところで横になり、制作発表にはなんとか出席。その後、ガレリア・フィルの練習に少しだけ顔を出したところで、完全に脳みそが機能停止。角田先生やガレ・フィルの幹事の皆さんには、本当に申し訳ありませんでした。悪寒と吐き気に襲われながら、1時間半ほど車を走らせる。時々、車線変更するときに、ふわっと視界が揺れる瞬間があって、かなりスリリング。段々ぼおっとしてくると、自分でもわけのわからない独り言をぶつぶつ呟いているのに気がついてちょっと怖くなる。さすがにやばい、と、道路脇のコンビニで、額に貼る熱さまシートを購入、これで相当楽に。コンビニで医薬品を販売できるようにしたという一点で、私は規制緩和政策を支持するぞ。

なんとか帰宅して、とにかく寝て様子をみよう、と就寝したのだけど、今度は吐き気が断続的に襲ってきて眠れない。さほど食べてないから、ゲーゲーやっても何も出てこない。こりゃ辛抱できん、と、タクシーを呼んで、近所の慈恵医大病院の夜間窓口に駆け込む。

ここで教訓。夜間窓口に行くときには、必ず事前に電話連絡して、自分の受診したいお医者さんが対応可能かを確認しないといけません。たどり着いた慈恵医大では、「今、心臓が止まった患者さんが来ていて、内科の先生は対応できないんですよ」と、気の毒そうにお断りされてしまいました。吐き気と悪寒で泣きそうになりながら、教えてもらった消防局の救急番号に電話し、近所の至誠会病院を紹介してもらう。タクシーを再び呼び、至誠会病院へたどり着いたのは、午前1時半くらいでした。

事前に電話してあったので、今度はすぐに内科の先生が診てくれる。色々症状を聞いて、血液検査をしたり、尿検査をしたりしたけれど、結局、「何かのばい菌が悪さをしてるみたいなんだけど、原因が分かりませんねぇ」とのこと。抗生物質を点滴されて、少し気分が楽になる。こんなに体調が悪いくせに、対応してくれた看護婦さんが、ガレリア座の振付師Fさんによく似た美人だったので嬉しくなる。体調が悪いから、余計嬉しいのか?結局、帰宅したのは午前3時半でした。

翌日、再度、至誠会病院に行って受診。血液検査、腹部エコー(胆石の可能性もあるんだって)など、朝9時半に行って午後2時くらいまでかかったけど、結局、「原因はよく分かりません」だって。「血液検査の結果だと、炎症反応が強く出てます。胃腸炎か風邪か、と思うんですが、喉の赤みなどの風邪の症状がない。胃腸炎に典型的な下痢の症状がない。ただ吐き気、ということだと、胆石も疑わしいんだけど、エコーでも影がない。よく分かりませんけど、症状も治まってきているようなので、数日後に近所のお医者さんにかかって、様子をみてください」だって。診察してくれたお医者さんが美人だったので(って、至誠会病院には美人が多いのか?)嬉しくなるけど、「原因不明」と言われると嬉しくない。

こういう時、日本語にはとても便利な言葉がありますよね。「暑気あたり」という言葉です。色んな検査をされて、結局「原因不明」と言われるのと、「まぁよく分からないけど、暑気あたりかなぁ」と言われるのとでは、患者としては安心感が違う。勿論、医師の方々としては、そんな適当な言葉でごまかすわけにはいかないんでしょう。色んな検査手段が充実し、インフォームド・コンセントなんて言葉を誰もが口にする時代です。「暑気あたり」なんて言葉で安易に片付けて、その後症状が急変したりしたら、責任を問われるのは医師の方々。そして、マスコミだの無責任な連中は、医者という職業の人々を叩くのが大好きですから。

でも、言葉の与える安心感と、それによる癒し効果っていうのはやっぱり侮れない。言葉の力って、そういう意味でもすごいんだなぁ、と、なんだか妙なところで感心してしまいました。結局「原因不明」で終わった高熱騒ぎでしたけど、自分としては、「暑気あたりでしょう」と納得して、今日から元気に社会復帰です。心配かけたガレリア座・ガレリア・フィルの皆さんと、女房と娘に、ごめんなさいでした。