身内の演奏会〜伴奏ピアノってのは面白いねぇ〜

祝日の月曜日、今度やる身内の演奏会の曲を集まって練習。私の歌う曲は、KさんとTくんとの三重唱。例によって女房から、「男がうるさい。ちゃんと女の子を立てろ」と怒られ、かなりソットボーチェでやるように気をつけるようにしました。微妙な半音階が多い曲なので、音痴にならないように丁寧にやらないとね。

今回、ピアノに覚えのあるガレリア座の団員さん数人に、伴奏をお願いしているのですけど、それぞれに個性があって面白いです。Sさんは、徹底的に歌によりそうタイプのピアニスト。歌がどんなに奔放にやってもきっちりついてきてくれる安心感。逆に、歌が消極的で、フレーズ感やスピード感がないと、てきめんに失速する。「歌い手が何をやるか見えないと、私は弾けない!」と怒られる。歌い手の力量をそのまま映し出す鏡のようなピアニストです。

男性の打鍵は概ね強いので、非常に華麗な音になりますね。今回の男性のピアニストは、早稲田のショパンの会にもいたことのあるKさんなんですが、彼のピアノは実にカンタービレで華やかな音がします。合わせて歌うのがうちの女房なので、でかい声と華やかなピアノで、なんだかそこだけテンションがあがったような感じになる。

女房も伴奏するのですが、女房は自分のピアノ伴奏を、絶妙の手抜き伴奏、と自称しております。楽譜を見て、「この音は絶対必要。この音は不要。ここにこの音が書いてないけど、この音は出した方がいい!」というのを瞬時に見抜いて、弾かないでいい音は極力弾かず、大事な音だけをきっちり出していくそうです。それでいいのだろうか。いいんだそうです。そんなもんなんだ。へぇー。

もう一人のピアニスト、Hさんは、本業は韓国美術の研究者なんですが、見事なピアノを弾かれます。今回も、伴奏譜面と一緒に、ガレリア座の本番演奏の録音MDをお渡ししたら、録音MDのオケ伴奏を聞き取って、ピアノ譜と全然違う伴奏をつけてくれました。これが実に素敵。

昔、大野和士さんが司会をして、足立桃子さんというコレペティトゥアの方の、歌手とのレッスン風景を見せる、という演奏会があったそうです。これが非常に面白かったらしい。伴奏ピアノっていうのは、普通のソロピアノと全然違って、歌手や演奏者の呼吸やフレーズ感を読み取らないといけないから、実に奥の深い世界なんでしょうねぇ。ソロピアノがガンガン弾ける人に伴奏ピアノを頼んだら、「私は伴奏ピアノは経験がないから無理だと思う」って断られたこともあったっけ。面白いなぁ。

音楽会の本番は明日。自分の演奏の出来はともかく、懐かしい楽曲と、素晴らしい日本語歌詞と、そして、素敵な伴奏ピアニストさんたちとの共演を、目一杯楽しめる会になればいいな、と思います。