宗教ってのは難しいのかなぁ。

宗教環境、という点では、我が家は典型的な日本人。お正月を祝い、七五三を祝い、宗派はと問われれば曹洞宗と答え、家には神棚と仏壇があって、娘はカトリック系の幼稚園に通い、クリスマスをお祝いする。何がなんだか。

無神論、というのとは違って、仏さまの教えもありがたいし、イエスさまの教えもありがたいし、日本の八百万の神様もありがたい。ありがたいだけじゃなくて、宗教ってのは、文化の基礎ですから、教養としてちゃんと知ってないといけないことだと思っています。府中に大國魂神社があって、調布に布田天神があり、布田天神の神様が少名彦さまだ、と聞いて、「なるほど」と思えないってのは寂しいですよね。大国主命さまと、少名彦さまは兄弟神だから、府中と調布にそれぞれ勧請されている。分かりやすいじゃん。

娘もそろそろ小学校だし、幼稚園でキリスト教の教育は随分受けているようなので、日本神話の子供用のいい本がないかな、と思い立ち、週末、図書館に行ってみました。これが全然ないんですね。宗教関係の本自体、すごく少ない。ほんの数冊並んでいる「神話・宗教」というコーナーで、なぜか、「ギルガメッシュの物語」なんてのが大判の立派な本で並んでいて、日本神話の本はほとんど置いてない。聖書の本も少ない。子供用の絵本は皆無なんです。

唯一あったのが、講談社青い鳥文庫で出ている「日本の神話」という本。でもこれは字が多いし、小学校の低学年向けだよなぁ。会社帰りに、紀伊国屋あたりに寄って、いい本がないか探してみるつもりですけど、やっぱり、公共施設に宗教関係の本を置くのは抵抗があるんですかねぇ。ちょっと寂しい気がする。

西洋音楽を多少なりともかじるからには、キリスト教と、ギリシア神話の基本的な知識が必要。日本に育っているからには、日本神話の基礎知識が必要だし、仏教の基本的な考え方も知っておく必要がある。さらに言えば、論語のキーワードも押さえておいた方がいい。昔の日本で寺子屋がやっていた「し、のたまわく」の教育っていうのは、思想教育、というよりも、教養としての基礎知識の習得だったんだと思います。

自分の子供の頃とか、思い返してみると、小学校に上がったころから、子供向けの日本神話の絵本や、ギリシア神話の話、聖書の話などの本が本棚にちゃんと並んでいました。黄泉の国からの逃走や、好色なゼウス、モーゼの奇跡の物語とかが、等価にごちゃごちゃと頭の中に入っていた。そういう子供向けの本で得た基礎知識、というのは、大人になってもすごく役に立っていると思う。ゲームやったり、ポケモンのキャラクター覚えたりするよりも、そういう「文化の底流」に流れている教養としての宗教について勉強しておくことってのは、すごく大事なことだと思うんだがなぁ。

日本神話というのが、太平洋戦争の思想的な根拠とされてしまった、という、非常に不幸な歴史も関係しているんでしょうね。日本神話を教育すること自体、右翼教育と思われてしまう。そういいながら、近所のお御輿は担ぐわけだよね。折角お御輿担ぐなら、そのお御輿に乗ってる神さまがどんな神様か、知ってた方が面白いと思うんだけどなぁ。