以前、勘三郎の襲名披露を見に行った時、パンフレットに、先代勘三郎のエピソードが載っていました。常に研究熱心だった勘三郎の逸話として、TVで放映された自分の舞台を見て、しきりに反省していた、という話が紹介されていました。「自分で全然意識していない動きが多すぎる」とおっしゃっていたとのこと。「無意識の動き=癖なんです。役者として一番注意するべきは、この癖なんですな」

日曜日、ガレリア座の前回公演「乞食学生」のDVDを入手することができ、帰宅後、早速見てみる。やはり、自分の出ている場面が気になるので、そこを集中的に確認。

ガレリア座の過去の公演では、かぶり物を使う役を随分やりました。今回のオルレンドルフ大佐も、肩までかかる金髪のカツラをかぶりました。その姿でうろうろ動いている自分を見るだけで充分おぞましいんですけど、やはり、無意識の癖と、その癖が自分の演技にものすごくマイナスの影響を与えていることに驚く。

具体的に言えば、首が据わってないんですね。赤ん坊かい、と思うほど、首がぐらぐらと意味もなく動く。歌っている時に、何の意味もなく眉毛が動きまくる。例によってアゴが動く。歩き姿も醜い。こりゃひどいもんだなぁ、と思いました。拍手を下さったお客様が、本当にいいお客様だったんだね。

歌を歌っている時にそういう無駄な動きが多いのは、歌の体のフォームがきちんと定まっていないから。フレーズのたびに、上体のフォームをいちいち立て直そうとするから、フレーズごと、ブレスごとにアゴがいちいち動く。公演前にちゃんと自覚していて、克服するべき課題に挙げていたはずなんですが、やっぱり治っていない。

芝居の時にも、無駄な動きがすごく多い。もっと自分の体の動きをシンプルに、効果的に使わないといけないのに。どうもばたばたして見える。せっかちな関西人の血が邪魔してるのかなぁ。

もちろん、落ち込んでばかりはいられないので、もう一度、自分の課題として取り組んでいくしかない。ある日神様が枕元に立って、「汝の癖を消して差し上げよう」なんて魔法の杖を振るってくれる、なんてことはありえないからね。癖を出してしまうのも自分。癖を治すのも自分。でも、そういう癖が自分にあるんだ、というのを確認するツールとして、DVDなどの映像は本当にありがたいです。じっくり研究しなければ。娘は脇で、「パパの髪の毛、へん!」と笑っています。オレもそう思う。