夢の話

新年といえば、初夢はどうだったか、なんて話があちらこちらで聞かれますよね。私の初夢は、詳細はよく覚えていないのですが、なんか、萩尾望都の「モザイク・ラセン」みたいな、現実世界の裏側にある異世界に飛ばされて、巫女になっちゃう、という、ヒロイックファンタジーな夢だった記憶があります。これが正夢になったら楽しいなぁ。

夢の話については、以前この日記にも書いたことがありますよね。大学の卒業資格を剥奪する、と言われて七転八倒する、という、情けない悪夢の話。この悪夢の話を、ある弁護士に話したら、「オレも、司法試験の合格資格を剥奪する、という悪夢をよく見るよ」と言ってました。悪夢の一つの典型なのかもしれん。

なんでまた夢の話をしているか、というと、昨夜見た夢がひどく象徴的な夢だったから。こんな夢でした・・・

私が通学していた高校の教室です。同級生も教室にいます。自分の机に着くと、数学の授業が始まります。教師は、私の小学校時代の先生です。彼がスラスラ黒板に数式を書いていく。何を書いているのかさっぱり分からない。回りの同級生は、平気な顔して、ノートに数式を写し取っていく。全然理解できないよぉ、と焦る。机の上を見ると、娘だの女房だのと写っている家族写真がばらばら置いてある。とにかくノートを開ける状態にしよう、と、写真を一生懸命整理していると、教師がそれを見て、「今ごろ机を整理しているなんて、失礼なやつだ。勉強する姿勢が出来とらん」とぶつぶつ文句を言う。黒板の数式はやっぱり理解できない。すると教師が、「この数式は、dがいかに孤独か、ということを意味しているんだ」と言いながら、式を解き始める。途端に、「そうか」と急に理解できて、自分もずんずん数式を解き始めた・・・

夢というのは、自分の心理状態が反映するもの。色んな夢解釈をしてくれる人はいるでしょうけど、私にとっては、現在の自分の位置をきちんと整理して見直し、基礎から勉強しなおしなさい、というメッセージを読み取りました。40歳になっちゃったからねぇ。不惑なんてはるかに遠い境地だよ。惑いっぱなしだよ。もうちょっとちゃんと自分の足場を固めなきゃね。

「この数式は、dがいかに孤独か、ということを意味しているんだ」という教師のセリフが妙に頭に響いています。まだ読んでないのですが、小川洋子さんの「博士の愛した数式」にでも出てきそうなセリフですね。友人に数学者がいるのですが、彼は突然、「素数ってのはいいよなぁ、美しいよなぁ」なんて呟いたりしています。物理学者が宗教家に近接しているように、数学者と詩人というのも親戚みたいな人種なのかもしれないなぁ。