さくら学院☆2019 ~Happy Xmas~ライブビューイング ~歌舞伎見てる気分になる~

年末の参戦記録、二つ目は、26日に見に行った、さくら学院のクリスマスライブのライブビューイングの感想です。印象に残ったポイントが多すぎてまだ何だか整理がつかないんですけど、とりあえず思ったことをだらだら書いてみます。まとまりのない文章になりますが、その点はご容赦を。

24日に幕張のアンフィシアターで開催されたライブのディレイビューイング、ということだったんですが、LVを見に行った時には既に、24日のライブでのトラブルの情報がシェアされていたんですね。入場の際のIDチェックに手間取り、開演が45分も遅れた、というトラブル。

さくら学院は、中学生以下の生徒さん達のグループということで、どの本番舞台も20時までには終了する、という鉄の掟があります。これは中三になったら卒業する、というこのグループを縛る最強のルールと同じくらいの重さを持っているルールで、開演が45分遅れたから、といって、終演時間を遅らせればいいでしょ、ということにならない。45分の遅延はそのまま、彼女達がやりたかったプログラムを45分間短縮しなければいけない、ということにつながるんです。

毎回の卒業公演でも、生徒さん達がやりたいセットリストと、時間の制約とプログラムの完成度の間でギリギリの調整が行われ、「セトリ問題」という単語まで生むくらいにプログラムが切り詰められ吟味されていることを知っているからこそ、45分の遅延が生徒さん達をどれだけ動揺させたか、想像できる。そんな中で、というか、そんな中だからこそ、凝縮されたパフォーマンスへの生徒さんたちの集中力は半端なかった気がします。多分、あゆみの映像の上映とか、購買部のネタとか、少しメンバーが休める時間を全部削って、楽曲のパフォーマンスをノンストップでつなげることで、なんとか予定していたセットリストをこなしたのだと思うのだけど、そのノンストップ感の中で、一人一人の生徒さん達の全力のパフォーマンスが生まれたのかな、とは思います。

でもね、そういう経験を生徒さんにさせちゃダメです。自分も舞台制作に関わったり、裏方として舞台手伝った経験がありますから言いますけど、演者に極度の緊張を強いたり、「はらはらした」と言わせるのは、舞台裏スタッフとして一番やってはいけないこと。演者が最高のコンディションで舞台に臨めるように最大限配慮するのが舞台裏の仕事。お客様に謝罪するより先に、全力のパフォーマンスで舞台を救ってくれた生徒さんに、今回の舞台裏のスタッフは心から謝罪と感謝をするべきだと思う。

そんな全力の生徒さんのパフォーマンスの中では、最高学年を支える中一・中二の存在感が非常に大きかった感じがしました。正直、自分が沼にハマった2018年度は、中三の3人の存在感と一つ一つの舞台にかける3人の想いの強さ、そこから生まれるドラマに目を奪われて、当時の中一・中二のパフォーマンスや成長にあまり目がいかなかったのですけど、今年度は、中三の4人が非常に安定感があるために、逆に、中二・中一のパフォーマンスの成長やそこに生まれるドラマが際立って見える気がしました。2月からの卒業公演に向けての準備期間でもある12月のライブということもあって、余計に下級生の成長が目立ったのかもしれない。ダンスの存在感と美しさが際立ってきた田中さん、パフォーマンスの鬼気迫る全力感に凄みさえ感じた佐藤さん、安定感で全体のパフォーマンスの軸になってきた八木さん、抜群の表現力で間違いなく舞台の核を作っていた戸髙さん、中三を向こうに回してけっして引けをとらない個性と存在感を示した野中さん、白鳥さん。この人たちが、10周年のさくら学院を作っていくんだなぁ、と改めて実感させてくれるパフォーマンスだったと思います。

「マシュマロ色の君と」「未完成シルエット」「キラメキの雫」あたりを見てると、なんだか、さくら学院って歌舞伎みたいだなぁって思う。歌舞伎も、「亡くなった勘三郎の当たり役だったあの役を勘九郎がしっかり引き継いでる」みたいなのがあるじゃないですか。なんかそんな感じなんですよね。それぞれの楽曲のソロパートを先輩から引き継いで、引き継ぎながら自分なりの色や工夫を加えてその年度の楽曲として完成させていく。引き継ぐことで失われる個性もあるけど、新しく付け加えられる解釈や個性もあり、積み重ねていくから磨かれる完成度もある。「未完成シルエット」の「バイバイ」のソロを麻生さんから有友さんが引き継いでいる所とか、ソロダンスを有友さんから八木さんが引き継いでいる所とか、もう見るだけで胸がいっぱいになる。勘九郎の二人の息子が二人桃太郎やってる姿に、勘九郎七之助が同じ演目で歌舞伎デビューした姿が重なるのと同じ構図だったりするんだよなぁ。

藤平さんのKANOMETALとしてのMステデビューやonefive爆誕などもあって、さくら学院としても本当に盛りだくさんだった2019年、来年はいよいよ10周年の年。400年以上の歴史を持つ歌舞伎と比べちゃいけないかもしれないけど、10年間積み重ねてきた歴史を踏まえて、どんな伝説が生まれるのか、今から本当に楽しみです。