娘が笑おたぁ

火曜日の夕方に、女房からCメールが飛んできて、娘が学校で転んで顔に怪我をしたと。学校の保健室で応急処置はしてもらったんですが、女の子の顔の怪我ですから、女房は帰宅後すぐに皮膚科のお医者さんに連れて行った。顔の左側を中心に、大きな擦り傷がいくつもできていて、お医者さんが、

「泥とかきれいに落とさないと、入れ墨みたいな感じで痕が残っちゃいますからね」

と、丁寧に洗ってくれたんだって。鼻の下の擦り傷には相当泥がこびりついていたそうで、局部麻酔注射までして洗ってくれた。パパが火曜日の夜に帰ってみれば、娘は顔中絆創膏だらけで、フランケンシュタインのような大変なご面相になっている。娘はすっかりしょげてしまって、水曜日は学校を休んでしまいました。お友達に顔を見られるのが恥ずかしくて嫌なんだって。学校の先生も心配してくれて、「女の子の顔の怪我ですからねぇ、ちゃんと治してくださいね」と言って下さいました。

昨日の休日も、家族3人でずっと家で一緒に過ごしていたのだけど、娘はやっぱり元気がない。娘だけじゃなくて、パパもママも、傷の痕が残っちゃうんじゃないか、と心配だし、娘が落ち込んでいると、なんとなく家族みんなが元気が出ない。夜になり、お風呂できれいに洗って、薬をつけないと、ということで、絆創膏をはずしてみた。

子供の回復力というのは本当に驚異的で、一番ひどかった鼻の下の擦り傷も、きれいにかさぶたができていて目立たなくなっている。他の場所の怪我もずいぶんきれいになっていて、これなら痕は残らないよ、と家族みんなでほっとする。娘は鏡を見て、「ほんとだ、きれいになった」とにっこり。一日ずっとしょげていたので、娘がそうやってにっこりしただけで、両親はもう手放しで嬉しい。「ちりとてちん」の糸子お母さんのように、「H子が笑おたぁ」とみんなで喜びました。

お風呂から上って、薬を塗って、もう一度絆創膏を貼りなおしたので、またフランケンシュタインに逆戻りしたんですけど、それでも、傷が結構治ってきた、というのが分かっているので、娘の表情はぜんぜん違います。今日は、マスクをして絆創膏を隠して学校に行きました。お弁当の時間は恥ずかしいから、午前中で早退するんだって。

子供の頃の傷、というのは、体の傷も心の傷もずっと尾を引きますから、親としては、なるべく傷つかない健やかな生活を期待しますし、そのために色んな安全措置を取る。それでもやっぱり子供は怪我をする。そのたびに親は、はらはらしたり、神様に祈ったり、そしてその怪我が治れば、子供の笑顔にほっとする。親っていうのは因果な商売ですけど、子供の笑顔は、本当に何よりも価値のある報酬です。