インド紀行そのに〜カレー〜

インドにはムンバイから入ったのですが、日本からムンバイ行きの直行便はありません。従い、タイのバンコクまでJALで飛んで、バンコクからはタイ航空で飛びました。で、バンコクからムンバイ行きの飛行機で出てきたのが、カレー。

おお、インドに行くんだなぁ、という感じがしましたね。プレートの真ん中に、細長いインディカ米が炒めて盛ってあって、左に普通のカレー色したカレー、右は緑色のカレーです。これが滅法うまい。

昔、米が不作で、タイ米が大量に輸入されて、「まずい」とみんなそっぽ向いたりしてましたけど、細長いインディカ米というのは、カレーに本当に合いますね。ちょっとパサパサした感じが、カレーの中でちゃんと自己主張しつつ、馴染んでいる。これはうまい、ということで、カレーの国の入り口は極めて好印象のまま通過。

昔、西原理恵子の漫画で、「インドのTVの料理番組を見ていたら、どんな材料つかってもどんな料理方法を用いても、最終的に出来上がってくるのは全部カレー」という漫画があって、ほんまかいな、と思ってましたが、本当らしいです。例のSさんに再登場願いましょう。

「日本人はどんな料理にでもお醤油で味付けしますよね。インド人のカレー、つまり、ターメリックを中心とするスパイスというのは、日本人にとってのお醤油なんですよ。確かに色んな材料で、色んな料理がありますけど、どのお料理にもスパイスが入っていないと、何かが足りない感じがする。日本のお醤油だってそうでしょう?」

その後、ムンバイで会合先の会社でご馳走になったり、デリーではシェラトンホテルの中の高級レストランで食事したりしましたが、必ずカレーが出てきます。緑色のカレーだけじゃなく、赤いカレー、白いカレーもありますが、スパイシィな味付けは全部一緒。日本で、どのお料理にも、必ず醤油がついてるのと同じですね。デリーのレストランで食べたのは、マトンをトルコ料理ケバブ風に焼いたもの。これも滅法うまい。小さな机くらいのスーパービッグサイズのナンがどどん、と出てきて、これをちぎってカレーにつけて食べる。これまたうまい。

<なんじゃこりゃ:左がSさん、右が私>

インドという国は、極端に貧富の差がありますから、高級レストランの食事のお代は、ほとんど日本での食事と変わりません。1食2000円から3000円くらいはかかります。でもその一方で、街の露天商で売っている安い食事は、1食50円くらい。デリーでは、この露天で売っている安い食事、「ラジュマライス」というのをいただきました。「ラジュマライス」のテイクアウトという形で、オフィスに持ってきてもらって食べたのですが、これがまたうまい。炒めたインディカ米と、豆を煮込んだカレーを、ビニール袋に入れてもってきた、っていうだけなんですけどね。これがコクがあって実にうまいんです。

インドでは食事に気をつけてください、と言われましたが、生ものにさえ気をつければ、どの料理も本当に美味しかったです。というか、どのカレーもね。日本で食べるカレーライス、というのも、確かに美味しいんですけど、インドのカレーはコクがあって美味しかったなぁ。

とはいえ、衛生状態は決してよくないので、気をつけないといけないのは確か。デリーのホテルで、「朝食はテラスで如何ですか」と言われて、気候がいいものだからつい外に出て食事していたのですが、となりのテーブルにはハエが大量に群れている。全部で2〜30匹はいましたかね。Sさんによれば、「いまはいい季節なんで、虫が多いんですよ。ハエも蚊も大量に発生します。夏になると、気温が45度くらいになるんで、虫も全部死んじゃって、いなくなります。」とのことでした。えっと。

インド駐在員の方も、「とにかく水はミネラルウォータ、それも、封をしてあるやつだけしか飲んじゃダメですよ」とのこと。ある商社の日本人駐在員が、冷蔵庫の中のミネラルウォータのビンに入っていた水を飲んだら、メイドさんが自分用の水を水道から汲んで冷やしてたらしくて、あっという間に急性肝炎になって強制帰国させられた、なんて話を聞きました。嘘っぽく聞こえるけど、インドならありうる。

でも、カレーという食べ物は一種癖になるものらしい。デリーで一日だけ、お昼を日本食レストランで食べたのですが、駐在員の日本人の方も、同行したSさんも、注文したのは「カツカレー」。「こういう日本のカレー、しかもカツカレーが無性に食いたくなるんです」とおっしゃっていました。はあ。

とはいえ、デリーから日本に戻るJALの機内で、スチュワードさんが、「カレーになさいますか、和食になさいますか?」と聞いてきたときには、私は、迷わず、「和食」と答えました。そこまでカレー人になる前に、インドを脱出したわけですね。でもこんな文章かいてたら、なんだかカレーが食いたくなってきちゃったなぁ。