学生症候群

先日、あるビジネス書を読んでいたら・・・って、私も一応、ビジネスマンの端くれなんで、そういうこともするんです。「学生症候群」という言葉が出てきました。学生さんたちが、たとえば、2週間後の月曜日から中間試験です、と発表されたとする。すぐには何もしない。教科書を開いても、試験範囲の最初のページあたりでぐずぐずやってる。試験の開始日がどんどん近づいてきて、前日の日曜日になって、急に慌てて勉強を始める。一睡もせずに一夜漬けして、ふらふらと試験を受ける。

ビジネスの世界でも同じようなことはあって、ある作業の締め切りを、「x月x日までに」とお願いすると、かなりの数の人が、その日になって慌てて作業し始める。あげくに、1日・2日と締め切りよりも作業が遅れていく。そういう細かい作業の遅れが積み重なって、致命的なプロジェクトの遅延につながったり、納期遅れや、納期ぎりぎりになって過労で倒れる人が続出する、といった事態になる。

まぁ要するに、締め切りを与えられたらちゃんと自分のスケジュールを管理して、早めに着手して早めに仕上げておきなさい、という話なんですけどね。仕事のスタイルの問題で、人によっては、かなり余裕を持って、締め切りよりもずっと前に仕事を仕上げてしまう人もいる。ある種の人々には、締め切りぎりぎりまで何もしない、という仕事のスタイルが結構染み付いてしまっている。うちの女房なんかは後者の典型で、脇で見ていて、「3日後に締め切りがあるって言ってなかったっけ?」と心配しても、「3日後に締め切りなんだから、2日後までは大丈夫なの」と平然としている。で、締め切りの前日、突然猛然と仕事を始めて、締め切り前には必ず仕上げている。「土俵際の魔術師とお呼び!」と高笑いしている。締め切り破りをしない、という意味では大したもんだと、いつも感心するんですが、誉められた話なんだろうか。ううむ。

女房に言わせると、「何もしていない時期でも、頭の中で、どうしようか、というプランを色々と考えめぐらしているんだよ」とのこと。色んなプランをぼんやりと考えて、ぎりぎりまで煮詰めてから、どどっと形にするんだそうです。そんなもんですかねぇ。小心者のサラリーマンの私は全く逆で、できる所からすぐに着手して、細かく積み上げていくタイプ。芝居の演出なんかも、私がやると、日程をきっちり決めて、できる所からどんどん作っていく、というやり方をしますが、女房はいつまでたっても演出プランの話をしない。大丈夫かいな、とイライラし始めると、突然、「できました」と、全体のプランが、ポン、と出てくる。確かに魔術師のようである。

締め切りまで何もしない、というわけじゃなくて、それなりに準備はしているわけですね。先日、インド洋地震のニュースを見ていたら、地震が起きる前のタイ政府の津波対策の話をしていた。日本の津波の専門家が、以前、タイに行って、「津波は、数年後に来るかもしれない。100年後になるかもしれない。なんとも言えない」といったら、タイの担当者が、「では、100年は何もしないでいいわけですね」と答えたんだと。こんな学生症候群は困るよねぇ。

なんでこんな話をしているか、というと、今、職場で、1月末までに仕上げないといけないプロジェクトのせいで、結構仕事が詰まっているんです。いつもはスチャラカに帰宅も早い私も、珍しく遅い帰宅が続いている。昨夜も、23時まで仕事をして、家に電話したら、まだ起きていた娘が、「パパが帰ってくるまで、起きて待ってる」とダダをこねだした。明日、朝起きられなくて、幼稚園にいけなくなるよ。パパはお仕事が溜まってるんだよ。そしたら、娘がプンプン怒りながら、

「もっと早くにやっとけばよかったじゃん!」

・・・はい、おっしゃる通りです。反省。