崖っぷちだよ。

週末、例によってガレリア座の練習です。前進した部分もたくさんあるけど、全然進歩しない所もいっぱいある。あと1ヶ月ちょっと。もう崖っぷちだねぇ。これで舞台に乗せたら、恥をかくのは自分だよなぁ。チケット売るのが怖いんだけど、売らないといかんしなぁ。ははは。

合宿の通し稽古の録音を聞いて、ほんとに血の気が引きました。これがオレの声かよ。深みもない、ぺらんとした声。音程も悪い。フレーズ感もない。なにより、全然推進力がない。全部自分の手前で落っこちてる。全然響きが飛んでない。全然ずくしだよ。全然。真田弘之の出てるそんなCMがあったなぁ。関係ないよ。ははは。笑うしかない。

以前、ガレリア座で看板テノールを張っていたT君という友人がいました。彼は本当に素晴らしい歌い手だったのですが、彼が、「歌というのは、自分が出している音を、演奏者がリアルタイムで聞くことができない唯一の楽器で、そこが実はすごく根本的な問題なんじゃないかと思うんだ」と言っていたことがあります。そうか、こういうことなんだ。

自分の歌っているときの声は、自分の体の中を通って耳に至るから、外でお客様が聞いている声と全然違う音が自分に聞こえる。バイオリンでも、金管楽器でも、演奏者が聞いている音とお客様が聞く音はまったく同じ音なんでしょうが(演奏者によっては違う、という人もいるかもね)、でも、歌だけは明確に違う音なんです。

自分では結構歌えてる気分になっている。自分ではいい声が出てる気分になっている。それが大間違い。あと1ヶ月ちょっとで、ほんとに矯正できるのかね。あうう。なんとかしなければ。

とにかく、課題を自分なりに整理して、一点突破でいかないとね。あれもこれも、全部消化するには時間もないし、自分の実力的にもそれは無理。とにかく、このひどい声の、ここだけはちゃんと矯正するのだ、そのための解決方法はこれだから、これをひたすらやり続けるのだ、という感じで、課題と手段を絞り込んでやっていかないと。

子連れでの週末練習、娘もだいぶ慣れてきて、日曜日の練習中は、「ミッケ!」という、自分の頭より大きな絵本を一人で読みながら、練習会場の前の机でぶらぶら足を揺らしていました。こっちからは、本と足しか見えない。ガレリア座のFさんがそれを見て、「ロックウェルの絵でこういうのあったね」とつぶやきました。ははは。

帰宅後、ベッドの中で、「ほんとにいい子でがんばってくれて、ありがとう」と言ったら、「また、たのしい土曜日になるように、かみさまに おねがいしようね」だってさ。女房ともども昇天。この子もこれだけ頑張ってくれてるんだから、しっかりいい舞台にしないとね。