病気になるもんじゃないっす

GW中に尿管結石が判明して、6月の舞台の前に超音波で破砕してもらおうと思う、という話を、以前この日記で書いたと思います。月曜日に、会社を半日お休みして、近くの総合病院で超音波破砕処置を受けてきました。今日はその顛末を。

一週間前に、泌尿器科で受診して、レントゲンにもくっきりと石が写っている。超音波破砕をする、と決めて、お医者さんから、「では、処置の前に、CTを撮りましょう」と言われる。レントゲンだと二次元でしか見えないので、CTでちゃんと石の位置を三次元で把握しておく必要があるそうです。というわけで、CT、レントゲン、超音波、という段取りで処置が進むことに。

でも、お医者さんも看護婦さんも、その処置がいくらかかるものか、金額を教えてくれない。一応、事前にネット上で、「自己負担分は6万円を超える」という情報を調べてあったので、念のために看護婦さんに、「いくらくらい用意しておいたらいいですか?」と尋ねる。「ちょっと待ってください」と言われ、しばらく待たされた後で、「大体6〜7万円くらいの負担になりますね」と説明される。

思わぬ出費だなぁ、と思っていたら、女房が、「あなた、生命保険に入ってるんだから、こういう時に活用しないといけないのでは?」とアドバイス。そうか。早速生命保険の担当者に連絡したら、「保険で一定金額は補填できますよ」とのこと。お医者さんに書いてもらう保険会社用の診断書なども入手して、月曜日、病院へ向かう。

CTとレントゲンを撮って泌尿器科に行くと、CTで私の体の輪切り写真を見せてくれる。「ここに石があります」と言われる。確かに、はっきりと白い影が映っている。レントゲンを見ると、ちょっと影がはっきりしない。「多分これかなぁ。CTにははっきり出ているので間違いないと思います」とのこと。続いて、破砕処理へ。

ここで、看護婦さんから、「痛み止めの座薬を入れますね」と言われる。え?痛いの?切開手術とかが必要ない、体外から超音波を当てるだけの処置なので、麻酔も要りません、といった説明をされていたので、「痛み」という単語が出てくることにちょっと動揺。とりあえず座薬を入れてもらって、手術室、というものものしい表示のついた部屋に行き、浴衣に着替え、髪の毛を覆う白いキャップをかぶる。なんだか大層な感じになってきて、さらに動揺する。

超音波破砕(ESWL)の装置は、胃のレントゲンを撮る装置にちょっと似てます。寝転がるベッドの腰のあたりが空間になっていて、ちょうど、四角いサンドイッチの真ん中あたりを一口食べたみたいな形になっています。その食べあとのところに、丸い超音波発生装置が頭を突き出していて、その装置に腰をあてると、超音波が繰り出される。

装置の上にはX線の装置があって、脇にあるモニターに私の腰のあたりのレントゲン映像が出ている。体の位置を変えると、背骨の映像が動く。自分の体の中が見えるってのは奇妙な気分ですが、脇に立ったお医者さんが、その映像を見て首を傾げはじめ、自分の体の中を楽しんでいる気分は吹っ飛ぶ。

「どうも石がはっきり映ってないんですよね。この黒い点かなぁ・・・でも腸に合わせて動きすぎるんだよなぁ。普通石はこんなに動かないものですからねぇ・・・これだけ見えないとなると、今日はやめとくかなぁ・・・」え?やめるの?ここまで来て?

というこちらの動揺を感じ取ったのか、お医者さんが、「多分これです。行きましょう」とおっしゃる。「多分」ってのもまた不安を煽るけれど、こちらもそんなに頻繁にお休みを取る訳にもいかないので、覚悟を決める。

腰にゼリーをつけて、丸い超音波発生装置に腰を押し付けると、装置が、ガツガツガツ、と堅い音をたてて腰のあたりに衝撃が来る。腰を小さな固いトンカチでひたすら叩き続けている感じ。最初はそれほどでもないかな、と思うのだけど、延々とこれが続いてくると、腰の辺りがギリギリ痛み出して、段々我慢できないくらいの痛みになってくる。「痛かったら言って下さいね」と言われるのだけど、この程度の痛みで音を上げているとダメなんじゃないか、なんていう変な意地とか、痛いのを我慢しないと、ちゃんと石が砕けてくれないんじゃないか、とか、色々考えてしまって、必死に我慢。

少し間が開いたか、と思うと、角度をかえてまた、ガツガツガツ、と始まる。この間がイヤだ。ちょっとホッとしたところで、ガツガツガツ、と来るものだから、泣きそうになる。とにかく石の痛みをなくすための措置なんだから、と必死に我慢する。

「終了しました」といわれるまで、ガツガツガツは、100回以上鳴りましたかね。処置台を降りたら腰から下がずーん、と重たくなっている。よくボクシングで、腎臓打ち、というのが反則ワザと言われる理由が分かる。

トイレに行くと、真っ赤な尿が出て、中に黒い小さなモロモロしたものが3つほど混じっている。石の破片のようでもあるし、そうでもないようでもある。お医者さんも、「ちょっと症状が安定して腎臓の腫れが引いていましたから、腎臓の腫れの消失で、石が流れた、と判断できないんです。とにかく、2週間くらい様子を見て、再診しましょう。」と。

「真っ赤な尿が出ました」とこちらから言うと、「血尿は1〜2週間くらい出ますよ」といわれる。処置後に血尿が出る、というのは、お医者さんからの事前説明はなかったんですけど、自分でネットで事前に調べてあったのでさほど驚かず。しかし、ネット上でも見つからなかったのは、こんなに「痛い」治療だ、という情報でした。誰か書いておいてくれればよかったんだが。

もちろん、体を切開せずにできる療法ですから、入院も要らず、翌日は早朝出勤して夜までバリバリに働く。こういうことができるのもESWLならでは。とはいえ、腰周辺の重たい疼痛はなかなか消えない。血尿は少し軽減されてきたのだけど、体のどこかがジンジンと痛い、というのは辛いものです。

ところが、昨夜の22時くらいに、突然、右のわき腹がきゅうっと痛み出す。結石の痛みが最初に出たときと同じ場所で、救急車を呼んだ時ほどではないにせよ、冷や汗が出るくらいの痛み。石が流れたのならこんな痛みは出ないのでは、と焦りまくり、また救急外来のお世話になって痛み止めをもらう。

今日になって、もう一度泌尿器科の先生に診てもらう。レントゲンを撮ると、「石がまだありますねぇ」と。おいおい、あんなに痛い目にあったのに砕けなかったのかよー。「位置がはっきりしなかったので、命中率が低かったんですかねぇ」と。それなら、やっぱり処置を受ける前に、「石が見えないなら今日はやめます」と決断すればよかった。

「一応、石は多少小さくなっているようですけど、打撃を受けた腎臓が出血して腫れていて、さらにその出血が石の周辺の尿の流れを悪くしていて、痛みが出たんだと思います」とのこと。なんてこったい。「しばらく間をおいて、もう一度超音波処理をするかどうか、考えましょうか」だって。もうやだー。

「この大きさなら、自然に流れ出ることも十分ありえます」とのことなので、それに期待しつつ、ガレリア座の本番を迎えることになってしまいました。大体本番前後ってのは体調が崩れるものなんだけど、石ってのは参ったね。でも、以前、「乞食学生」の舞台では、インフルエンザに負けずに本番つとめあげたからな。石なんかに負けてたまるか。水飲んで流してやる。今朝からまたおしっこが真っ赤になってるし。やっぱ健康が一番だよね。はぁ。