おばけのクプリン

ココのところやけに仕事がバタバタしていて、休日出勤もたびたび。そんな中でも色々とインプットはあるんだけど、なかなか日記に書いている暇がありません。ちょっと日記風に、ここ数日の状況を書き連ねてみます。

伊坂幸太郎の「鴨とアヒルのコインロッカー」を読了。去年発見した小説家として、年末に北村薫さんを挙げたんだけど、伊坂幸太郎も大収穫だったなぁ。本当にハズレがない。ヒロインがひどい目に会うんじゃないか、と思って途中から読み進めるのが辛くて辛くて、そして実際とても悲しい結末なのに、この開放感というか、この充足感は何だろう。「重力ピエロ」もよかったけど、個人的にはこっちの方が好きかもしれない。

北村薫の「リセット」を読了。とても好感の持てる登場人物が出てきて、この登場人物たちにとても悲惨な運命が待っている、そしてそれが、冒頭から読者に暗示、あるいは明示されている、という意味では、「鴨とアヒルのコインロッカー」と同じ構造で、前半は読み進めるのがとっても辛かった。それも個人的に思い入れのある神戸を舞台にした話で、描かれる戦時中の上流社会の女子高生の生活ぶり、というのが、北村さんらしい感傷的なタッチで丁寧に描かれていて、本当にしんどい気分になる。ちょっと意地悪い見方で言えば、戦時中を描いた物語なんか腐るほどあるじゃん、という気分もする。確かに、描かれる神戸の上流社会の生活ぶりは、普通の戦争物語に比べると優雅で、その分、敗戦の喪失感が大きい、という新鮮さがあるし、徹底的な資料分析を基に描かれるその時代はものすごくリアル。それでも、第一部を読み終えて、そして第二部の途中まで読み進めても、この物語が一体どこに着地していくのか、リセット、というタイトルが僕らをどこに運んでいくのか、なんとも不安な気持ちが抜けなかった。一切の先入観や事前情報抜きに読んだのが本当に幸いしました。

第二部の後半になって、怒涛のように立ち現れる「リセット」と言う言葉の意味。運命と命と時間の糸が紡ぎ出す夢のような物語。北村さんの作品は、どこか「祈り」に似ている、とこの日記で何度か書いているのだけど、第二部のラスト近くになって、本を読みながら思わず「やった、よかった」とつぶやきながら泣きそうになってしまう。電車の中で花粉症防止のマスクをして涙目になってぶつぶつつぶやいている中年男。怪しすぎる絵である。

これで、「スキップ」「ターン」「リセット」と、「時と人」シリーズを全部読了。個人的には「リセット」が一番よかったなぁ。北村薫さんや伊坂幸太郎さんの作品を読んでいると、小説っていいなぁって、ほんとに思うよね。小説にできることって、ほんとに一杯あるじゃん、と思えてくる。

ここからは日常スケッチ。

先日家に帰ったら、なぞのイラストがテーブルの上においてある。「おばけのクプリン」と書いてある。なんじゃこりゃ、と女房に聞く。娘が、女房にクイズを出したそうです。「お尻が九つあるおばけはなんでしょう?」・・・答えは、吸血鬼、なんだけど、女房は分からず、苦し紛れに、「・・・クプリン?」とつぶやいた。これが娘に大うけで、このおばけのイラストまで出来上がってしまったそうです。

こんなのです。

今日はバレンタインデー、ということで、ママと娘はおお張り切りで、仕事に疲れたパパに大サービスをしてくれました。流行のチョコフォンデュにコーヒーポットのプレゼント。ラナンキュラスという花が可愛い、と女房が撮ったテーブルの写真です。

こんなでした。

明日は仕事で会社だよ。バレンタインにもらったコーヒーポットを会社に持っていこう。この日記も気がついたら9万アクセスを超えてました。相変わらずなんだかよく分からない日々の独り言ですが、いつもお付き合いくださってありがとうございます。さて、休日出勤がんばるぞ。