BABYMETAL BEGINS THE OTHER ONE~物語は続く~

今日は、先週参戦したPIA ARENA MMでのBABYMETAL BEGINS THE OTHER ONEの2days ライブの感想を。この歴史的なライブに参戦できたことをFOX GODに感謝しながら、一オーディエンス、それもかなり「さくら父兄」としての視線からの参戦感想を書きたいと思います。楽曲やライブそのものの感想よりも、むしろその時に自分が感じたことを極私的に呟ければと。

2日間とも超Mosh Pit、Day1は別用があり入場時からの参加、Day2は物販からの参加でした。会場と観客誘導、という点でいうと、多くの人が感想で書かれているように、過去のBABYMETALのライブ会場と比べ、会場外のスペース(待機列の誘導スペース含め)に余裕がなく、かなり無理がある感じはしました。とくに一日目は、超MoshのAエリアとBエリアの誘導を同時に同じエリアで始めてしまったためにかなりの混乱が生じ、先に入場できるAエリアの方たちがBエリアの待機列をかき分けて前に進まなければならなくなってしまった。それでも開演時間に間に合ってしまう所が、さすが行列を作ることが世界一得意な日本人、という感じでしたが。このあたりは二日目には、先にAエリアの人を屋内の待機場所に誘導することで解消されていて、そういう改善の迅速さ、というのもさすがだなぁ、と思いました。

初の試みだった物販の事前整理券制、というのも非常にうまく機能した感じで、物販列のストレスは皆無でした。超MoshPitで早い時間帯の予約ができたおかげかもしれなくて、少なくとも1日目は、物販列と入場待機列が待機場所の狭さのせいでグシャグシャになってかなり混乱してたけどね。でも恐らくそういう多少の不便も予想しながらも、運営がこの会場にこだわったのは、この会場の名前が、PIA ARENA MMだったことに尽きると思う。MOAMETALとMOMOMETALのMMであり、MOMOMETALのMMでもある、MMという略称を持つこの会場で、MOMOMETAL爆誕を祝おう、という意図は、集ったメイトの方々はみんな理解していたと思います。

Mosh Pitより超Mosh Seatが断然よかった、というコメントをツイッターで多数見ますけど、ステージ上で起こっていることをしっかり見るには間違いなくSeat席の方がいい会場だったと思います。1日目は超MoshのBエリアだったんですけど、2日目のAエリアに比べるとステージのクリアランスは非常に低かった。結局BABYMETALの超Moshを選ぶことって、一緒にライブを作る側に立つか、それともある程度客観的にライブを見る側に立つか、という姿勢の違いなんだよなぁ。個人的には今回のようなマイルストーン的なイベントは、ステージに起こっていることをしっかり確認できるSeat席を選んだ方が正解だったな、というのが正直な感想。もちろん、超Moshで押し合いへし合いしながらジャンプして、レーザー光線に自分のFoxサインを浮かび上がらせる快感、というのは何物にも代えがたいなぁとは思いましたけどね。

ライブ本体の感動についてはもう多くを語りません。1日目の最後の紙芝居で岡崎百々子さんの4年弱の長い献身が報われた瞬間はもう滂沱の涙でしたし、2日目に「いいね!」が復活した時の感激は忘れられない。ただ、個人的に一番感動したのは、Road of Resistanceで会場全体を見上げた時、フロアからシート席までを埋め尽くしたメイトさん達が腕を振り上げ、シングアロングで声を合わせている姿を見た時でした。幕張でも同じ光景を目にしたはずなのだけど、幕張はシート席がなかったので、会場が発声可能になってから、会場全体のメイトさん達を見渡せたのは今回のPIA ARENAが初めてだったんですよね。本当に、会場の全員が、すぅ様の声に合わせて同じ旋律を腕を突き上げて歌っているのが一望できた。この光景が再び戻ってきて、そしてその会場の全員が、MOMOMETALの誕生をその日一番の熱い歓声と拍手で祝福してくれた。父兄メイトの自分のここ数年間の願いがやっと叶ったような思いで、60近いオッサンが声を上げて泣きそうになりました。

THE OTHER ONEの新曲、特に、幕張で披露されたMETAL KINGDOM、LIGHT AND DARKNESS、MONOCHROME、LEGENDについては、すぅ様が既に完全に自分のものにしている感じがあったのだけど、Mirror Mirror、Time Wave、Believing、METALIZM、あたりは、すぅ様自身まだ試行錯誤をしている感じはありました。恐らくは海外ツアーで歌いこなしていく中でどんどん磨かれていくのだろうな、と思います。そういう意味では、初期にすぅ様でさえちょっと音程をつかみきれずに苦戦していたKARATEを、アリーナ公演初経験にも関わらず完璧に歌いこなした通称「ぐんぐん隊」のボーカル担当、戸高美湖(MIKOMETAL)には恐れ入りましたが。

今回のアルバムの成熟した感じはMOAMOMOのダンスにも表れていて、MIKIKOダンスの申し子ともいえるMOMOMETALのキレと艶っぽさとパワーを兼ね備えたダンスと、もはや人間というより天女ではと見まごうようなMOAMETALの、会場の空気の色さえ変えるダンスは、それ自体が動く芸術品、という感じ。なので、観客は、一緒に盛り上がる、というより、聞き入る、見入る、という姿勢が強くなるんだよね。でもそれが今回のアルバムの楽曲の魅力だし、ぐっとステージに集中した後に、キラーチューンのDistortionで爆発する、そして過去の神曲が三人体制で復活してギャン泣きする、みたいなメリハリが効いて、本当に過去最高のセトリだったなぁ、って改めて思います。

MOMOMETALの誕生と共に、YUIMETALがBABYMETALの公式サイトから完全に姿を消し、YMY(ゆいちゃんまじゆいちゃん)の方々が悲しみにくれているのは凄くよく分かる。でも、今回のMOMOMETALの誕生とYUIMETALの本当の意味での卒業は、水野さん自身が望んだことでもあるんじゃないかなって思います。色んな人の思いとか期待とかどうでもいい、水野さんが幸せで、笑顔でいてさえくれたらそれでいいっていうのが、さくら父兄の自分の気持ちです。僕らの心の中でYUIMETALはLIVING LEGENDとなってずっと輝いているし、僕らの中にいるYUIMETALを、今の水野さんに強制することは誰にもできない。新生BABYMETALにとってもよくないと思う。逆にいえば、YUIMETALを送り出すのに4年もかかったんだ。それくらいYUIちゃんの存在って大きかったんだよ。本当に本当に、お疲れさまでした。そして本当に本当に、ありがとう。

そんなYUIちゃんの不在と、コロナ禍の中での戦いを支え続けたMOMOMETALの物語をあの場に集ったメイトさんたちはみんな理解していた。さくら学院の頃から重音部に憧れ続け、ダンスの振り付けも担当するくらいにダンススキルを磨き、Avengersにも加わりながら、それでもやはりYUIMETALの後を継ぐことへの躊躇はあったと思う。KPOPアイドルへの挑戦も、自分の可能性を確認するプロセスだったんだろうし、そんな葛藤を経てMOMOMETALになることを選んだその勇気と覚悟。それをみんな理解していたからこそ、あの大きな拍手と歓声が生まれたのじゃないかな。単なる興奮とか熱狂というのとは少し違う、もっと優しくて温かい想いがあの拍手と歓声にはこもっていて、本当に、このグループを、さくら学院を推してきてよかった、と思えた瞬間でした。

中本すず香、菊地最愛水野由結、という天使達が語り始めた物語は、その出身母体であるさくら学院の36人が生み出す物語である「さくらSAGA」の外伝として誕生し、その後、神バンドと藤岡幹大さんとの交流という物語、佃井皆美さん、丸山未那子さん、平井沙耶さんなどのマッスル姐さん達の物語も絡み、鞘師里保さん、藤平華乃さんというASHとさくら学院という自らの出自に迫る物語を経て、今、母体のさくら学院を継承するAmuse Kidsの育成の場として、戸高美湖、木村咲愛、加藤ここなを始めとしたKidsの成長の物語まで語り始めた。その中で新生BABYMETAL自身も、楽曲の成熟に合わせた新たなMETALの異世界の扉を次々と開きつつある。物語は、無限のループを描きながら次第に拡大していくメビウスの輪のように、これからもずっと続いていく。THE ONEの時、モニターに映ったMOAMETALが、「もし終わりがあるなら」という歌詞を自分も口ずさんでいるのに気付いた瞬間、背筋に鳥肌が立ったのだけど、あれはもあ様自身が、一つの物語が終わり、そして別の物語が始まることを自分に言い聞かせていた瞬間だったのかもしれないなぁって思います。三人が始めた物語、そして新たな三人が歩んでいく物語。音楽を、世界を変えるかもしれないこのスーパーレディ達の歩む物語を、これからもずっと見守っていければと思います。