杉崎寧々がさくら学院を変えたんだよなぁ

BABYMETALのYUIMETALの近況は全く不明で、アミューズ株主総会で、「体調は回復している」という情報があっただけで、10月の日本公演に復帰してくれるのかどうかもわからない。BABYMETALのファンクラブのTHE ONEからは、10月公演のチケット販売情報の詳細はまたお知らせするから、ちょっと待ってて、みたいな、「僕らも頑張ってるから忘れないでね」、みたいなメールが届いて、俺たちが待ってるのはそういうことじゃないんだけどなぁ、と思いつつ、とにかくYUIMETAL、というより、水野由結さんが幸せに、たとえ曲がりくねった道でも、自分の道をしっかり歩んでいることを遠くから祈るしかない。

三吉彩花さんが、矢口監督のミュージカル映画の主演に抜擢された、というニュースに、さくら学院の父兄さんたちが快哉を叫んでいたりするんだけど、2017年度の卒業式で、森先生が送辞で言っていた、「君たちが卒業後に色々成功しているニュースなんてのは、いやでも耳に入ってくるんだから、これから外の世界で、いっぱい失敗しておいで。そして、この、君たちが一番自分らしくいられる、さくら学院に戻ってきて、そんな失敗談を先生に聞かせてください。そういう、君たちが自分らしくいられる場所としての、さくら学院を、先生たちはずっと守っていくから」という趣旨のセリフを思い出す。さくら学院が、将来のプロのパフォーマーを育成する育成機関として存在している以上、卒業生には、芸能界で活躍することが最も期待されているのが事実。だから、森先生が、「成功」と言う時、それはやっぱり、三吉さんや松井愛莉さんのように、芸能界でしっかり実績を残していくことを意味しているのも事実だと思う。

パフォーマーを育成する育成機関としては、投資を回収する、という意味でも、プロのパフォーマーになって成功しない卒業生を生み出したことは「失敗」であり、そういう卒業生は「挫折した」と思われるのが本来。でも、中学を卒業したまだ高校生の女の子が、いくら中学時代に、一流の指導者の元で高度なレッスンを重ねたとしても、芸能界で必ず成功するとは限らない。芸能界はそんなに甘いものじゃない。

なので、さくら学院は、ある時点から、自分たちが育成しているのは、パフォーマーではなくて、「スーパーレディー」なのだ、という建前にシフトした気がしていて、その大きなきっかけになったのが、杉崎寧々さんじゃないのかな、と思う。さくら学院の初期メンバー、と言われる、武藤、三吉、松井、中元、杉崎、飯田、堀内、佐藤、菊池、水野、のうち、卒業してすぐに芸能界を引退する、と言ったのは杉崎寧々さんだけで、この彼女の決断と、その後のさくら学院に対する関わり方が、ある意味、さくら学院を、「パフォーマーを育てねばならない」という呪縛から解放して、より人間的なもの、本質的なものを学ぶ場として機能させるようになったのじゃないか、という気がする。

杉崎さんについて語りたいことは山のようにあって、色んなアーカイブで見るステージ上での彼女は、どちらかというとAKB系の接触系アイドルに近いファンへのサービス精神にあふれていて、過去のさくら学院の卒業生の中でも、菊池最愛以上にアイドルらしいアイドルだった気がする。色んな葛藤と幻滅を経て、結果的に、芸能界引退という道を選んだのに、杉崎さんの卒業は本当にさわやかで、その後も、夢だった看護学校への入学を果たして、芸能界で輝くだけじゃないスーパーレディーの道があるんだ、ということを具体的に示してくれた。それが、その後の卒業生が、芸能界を引退したとしても、さくら学院公演に顔を出し、その写真を見て父兄が温かいエールを送る、そんな先例になったんじゃないかな、と思う。杉崎さんなんか、多分、日本で一番ファンの多い看護師になるんだろう。芸能界を引退した武藤彩未さんや、野津友那乃さん、白井沙樹さんとかにも、いまだに父兄からのエールが絶えない。それって、杉崎さんが、「芸能界で失敗したって、いくらでも他の場所でスーパーレディーになれるんだよ」という姿を見せてくれているおかげなんじゃないかな、と思う。

杉崎寧々さんが、卒業式の当日に書いた学院日誌の、「女神になる」という言葉が本当に鮮烈で、そして、ねねどんは間違いなく、さくら学院の女神になったのだと思う。挫折した人、失敗した人に対して、それでもいいんだよとそばで寄り添ってくれる女神になったのだと。そんな女神が、水野さんのそばにも寄り添ってくれていることを、ただ祈るしかないのだけど。

なんかね、さくら学院って、こういう物語が無数に絡まって、巨大で立体的なタペストリーを作っているから、本当にはまっちゃうんですよね。今日は、さくら学院を知らない人には全く理解できない内容になっちゃった。ごめんなさい。でも書きたかったんだよ〜。