サロンコンサート「わるいやつら」終演いたしました。

6月10日に、渋谷で開催しましたSingspielersのサロン・コンサートAct.4、「わるいやつら」終演いたしました。


 
個人的には、やっぱり声が最後までもたなくて、これがアマチュアの限界だよなぁ、とかなり悔しかったんですけど、優しいお客様の温かい拍手と、共演者の頑張りで、集まった皆様はとても楽しんでくださったようで、本当にありがたい限りです。ご来場いただいた皆様、共演者とスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

昨年の秋からずっと準備を進めてきて、通勤電車の中でもずっと頭の中で繰り返し歌ってきた歌の数々。もう終わっちゃったんですけど、今でも時々頭の中に鳴り響いていたりします。ご来場くださったお客様にもそういう方が一人でもいたらうれしいなぁ。

さて、前回のサロンコンサートもMC原稿をここに再掲したりしたんですが、今回も、「わるいやつら」というテーマに沿った文章を2つ書きました。それをこの日記に公開しておこうと思います。一つはプログラムに書いた文章、それと、MC原稿。今日はプログラムのご挨拶文を。
 

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 突然、オペラとはまるで関係ない話から始めちゃいます。
 昔、機動戦士ガンダムっていうアニメがありまして、我々の世代の多くがこれに思いっきりハマりました。実は来年2019年は、機動戦士ガンダムの最初のTVシリーズが放送されて40年(!)という節目の年で、最近結構マスコミなどでも取り上げられていたりします。なんでこのアニメ作品がこんなに長く愛されることになったのか。色々な分析が世の中にはいっぱいありますけど、私見を言わせてもらえれば、

 「敵役がかっこよかったから」

というのが大きな一因なんじゃないかな、と思うんですね。ガンダムの世界で、主人公が戦う敵役の「ジオン軍」というのが、制服にせよ、操るメカのデザインにせよ、登場人物やそのセリフにせよ、とにかく無茶苦茶かっこいいんです。青臭い主人公より全然深みがあって、実に人間臭い悪役たちが、この作品をここまで魅力的にしたんだと思うんですね。

 さてここで、オペラの世界に立ち返ってみます。古今東西のオペラやオペレッタを眺めてみると、大体の作品の主人公達は、もうちょっと賢く立ち回ればいいのに、と思わず呟いてしまう、直情タイプのテノールとソプラノのカップルが多くて、歌はかっこよくても魅力的なキャラがあまりいない気がします。それに比べて、テノールとソプラノの恋路を邪魔する悪役のバリトンや、ムンムンの色気でテノールを破滅させていく悪女たちの、なんと魅力的なことか。

 今回は、様々なオペラの中から、そんな悪役たちの、魅力に溢れた曲の数々をセレクトしてみました。そして、休憩明けの後半では、信頼を裏切られた絶望から、盟友の暗殺という悪事に身を投じていく男の哀愁を軸に、登場人物の様々な思惑が音楽という糸で見事に一つの織物に織り上げられていく、ヴェルディの傑作「仮面舞踏会」の一場面を通しでお届けしたいと思います。お楽しみいただければ幸いです。

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