明けましておめでとうございます〜途中をきちんと想像して進む〜

2018年が始まりました。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

年頭にはいつも、前の年を振り返って、その年の抱負を書いておりますが、2017年はどんな年だったかしら、と振り返ってみれば、我々家族3人それぞれに、新しいステージに向かって開かれた扉に続く階段を、一歩一歩上っていった一年だった気がしています。娘は高校三年生になり、高校の音楽部を引退、最後の定期演奏会や、5月の体育祭で幹部学年としての責任をしっかり果たして、今は大学受験に向けて勉強中。どんな大学が娘に扉を開いてくれるのか、その先にどんな大学生活が待っているのやら。親は側から見守っているしかできないけど、扉の向こうの新しいステージで、まだ見たこともない世界に沢山触れてくれたらいいなと思います。

女房にとっての2017年は、私から見れば、オペラ歌手としての実績を一段一段きちんと積み重ねて、自分のポジションをしっかり確立した一年だった気がします。特に大きかったのが、浅草オペラ100年記念として上演された、「ああ、夢の街浅草」ロングラン公演に参加できたことだったのじゃなかったかな、と。あの舞台できちんと存在感のあるパフォーマンスを届けたことで、「ソプラノ歌手 大津佐知子」という歌い手の持っている可能性をしっかり示すことができた。「この人をこの舞台で使ってみたい」と思ってもらえることって、芸事の世界では本当に大事なこと。浅草オペラの舞台に限らず、2017年に女房が出演したいくつかの舞台では(かなり身びいきが入ってはいますが)、「次は大津佐知子にこれを歌わせてみたい」「大津佐知子がやるこんな役も見てみたい」と思う瞬間が何度もありました。2018年も、しっかりそういうパフォーマンスを積み重ねていってくれたら、と思っています。

私にとっての2017年は、何と言っても4月から職場が変わったことが大きかった。海底ケーブルの保守や敷設を生業にしている会社に移ったのだけど、子供の頃から憧れのあった海の仕事や船の仕事に関われる、というのが本当に嬉しい。もちろん仕事ですから、単なる憧れだけではやっていけなくて、面倒なことはいっぱいあるんですけど、それでも、日本のインフラを支える仕事に携わっている誇りと喜びを支えに、一日一日実績を積み重ねていけたら、と思っています。

ほとんど第二の生業と化している舞台の世界でいえば、ラ・ボエームオペレッタを絡めたサロン・コンサートや、麗鳴の演奏会、23年ぶりに挑戦した「ホフマン物語」など、例によって盛りだくさんな一年でした。ただ、今年は、女房が参加した万年筆女子会の裏方を手伝ったり、大イベントだった浅草オペラの舞台裏の話を女房から聞いたりする機会が多かったせいもあり、一つの舞台を作っていくプロセスについて考えることが多かった気がしています。一番の大舞台となった「ホフマン物語」では、合唱の一員としても参加しましたけど、自分のポジション取りから、その後の動きの流れなど、次に何が起こるか、をしっかり想像しながら舞台を作っていく醍醐味をいっぱい味わうことができました。

年末にやっていた教育テレビの「大人のピタゴラスイッチ」で、人間はスタートと終わりを想像することができるけど、その間のプロセスを想像することができなくて時々失敗する、みたいなテーマが取り上げられていて、そうだよなぁ、と思った。「これをやりたい」「こんな風になりたい」と思って、その完成形を想像することは簡単だけど、それを実現させるためのプロセスをしっかり想像して、一つ一つのステップをきちんと踏み越えていくことって、そんなに簡単なことじゃない。2018年の自分を想像して、2017年、なんとかステップを上ってきましたけど、2019年、2020年の自分をさらに想像して、新しい扉の先に続く階段を、またきちんと上っていきたいと思います。また一年、家族三人で日々積み重ねてまいりますので、御贔屓の皆様方におかれましては、なにとぞよろしくお願い申し上げたてまつります。