YUIMETALがBABYMETALをアイドルにしていたんだよ

YUIMETALが水野由結さんに戻る、と言う報道が出て、一夜明けました。昨夜、この日記にこのニュースについて書こうかな、と思ったんだけど、全然頭の整理がつかなくて何も書けなくなっちゃった。一夜明けて、ちょっと整理できてきた気もするので、書いてみますけど、まだぐちゃぐちゃな部分もあると思う。でも何かしら書いてみます。東京ドーム公演あたりから現場に行きだした私ですらそうなんだから、8年間追いかけてきたメイトの人たちは本当に悲しいだろうなぁ。

YUIMETALが、「カワイイメタル」「アイドルとメタルの融合」といわれるBABYMETALの、「カワイイ」「アイドル」の部分を受け持つ柱になっていた、というのは、多分誰もが認めることだと思う。SUMETALのパワフルなボーカルと美しさ、最近とみにダンスにパワーが増し、かつ美貌に磨きがかかってきたMOAMETALの二人が、アイドルからMETAL QUEENへ変貌していくのに比べて、YUIMETALのダンスは、パワーではなくむしろ、最小限の動きで最大限の表現をするキレ味の鋭さと、一つ一つの動きが無駄なくつながっていく流れのよさが持ち味だった。さらにその少女らしさの抜けない可憐な顔立ちと、3人の中でも際立っているボケっぷりで、YMY(ゆいちゃんまじゆいちゃん)、という、実にアイドルっぽいニックネームがつくくらいに、YUIMETALはBABYMETALの「カワイイ要素」の象徴だったと思う。

もう一つ、YUIMETALをアイドルとしてのカリスマにしていた要素が、彼女自身が持っている「物語」の力。多分どんなアイドルでも、下積みの苦労だったり、メンバー同士の絆だったり、大きな苦難を乗り越える力だったり、そういう何かしら奇跡のような感動の物語を持っているもので、アイドルを応援する人たちはみんな、そんな物語にのめりこんでしまう。BABYMETAL自体が、ソニスフィアの奇跡、と呼ばれる伝説の舞台を経て世界のメタルバンドに成長していく物語の中で、常に語られるのが、武道館で巨大なセットから落下したYUIMETALの挿話。終盤の「ヘドバンギャー!」のパフォーマンスの途中で、YUIMETALが、セットの隙間から、数メートル下に落下。残る二人でパフォーマンスをやりきり、続く「イジメ、ダメ、ゼッタイ」で、笑顔でステージ上に戻ってきたYUIMETALが全力のパフォーマンスで会場を圧倒したエピソード。BABYMETALという物語の中で、YUIMETALという人は、何かしらの苦難を自分の努力とその真面目さで乗り越える、という役回りを与えられた人だった。

そういう意味でも、YUIMETALという人は、BABYMETALの中の「アイドル」のコアになっていたんだと思う。SUMETALのお姉さんで、元乃木坂だった中元日芽香さんが、卒業にあたって、「アイドルとは」という持論を語っていて、引用すると、

 

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アイドルの一番のウリは
素のキャラクターと
仕事への"姿勢"なんだと思います。
 
シンガーには敵わないし
ダンサーには敵わないし
芸人には敵わない。
 
パフォーマンスが完全でない分
いかに目の前のことに真摯に取り組むかが求められている職業

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と言っていて、YUIMETALは、優れたダンスパフォーマンス能力を持ちながら、さらに「目の前のことに真摯に取り組む」姿勢を崩さない、真っ直ぐで真面目な努力家で、日芽香さんのいう、アイドルとしての仕事の姿勢を持った人だった。

YUIMETALが水野由結さんに戻った後、どんな人生を歩もうとするのか、それは彼女自身が決めることなんだけど、別にまた無理して芸能活動に戻ってこなくても全然いいと思う。自分の選んだ道が正しい道。いっぱい寄り道をすればいい。日芽香さんは、メンタルを患った自分の経験をもとにして、心理カウンセラーとして活動されているらしいけど、弱い人に寄り添う日芽香さんらしい、本当に素敵な選択だと思うし、さくら学院の先輩には、日本一ファンの多い茨城の看護師さんもいる。さくら学院の担任の森ハヤシさんが、最近のトークイベントで、「さくら学院の父兄さん(ファン)は、誰もさくら学院の生徒が有名になってほしい、なんて思ってなくて、生徒が幸せになってほしい、と思っているんです」と言っていて、水野さんのファンも、みんなそう思っていると思います。水野さんが、さくら学院のイベントにOGとして遊びに来てくれて、楽屋でみんなと一緒に笑顔で映っている写真を、1年に1回見られたら、もうそれ以上の幸せはないんです。水野さん、YUIMETALとしての8年間、本当にお疲れ様。最高の時間をありがとう。これからあなたが歩む道が幸せでありますように。