BABYMETAL巨大キツネ祭り〜応援団を増やすためには妥協しちゃダメなんだなぁ〜

BABYMETALのことは何回かこの日記に書いていて、お前どこまでBABYMETAL好きなんじゃ、と言われるかもしれないけど、恥ずかしながらほんとに俄かファンで、なんとLIVEに一度も行ったことがなかったんです。一回ライブビューイング見ただけ。ライブを見ずしてBABYMETALを語るな、とボコられるところを、こっそり「でも好きなんです、ごめんなさい」と身をすくめながら語っていた一昨日までのワタクシ。やっと抽選に当たった初ライブ、この秋開催の巨大キツネ祭り、さいたまスーパーアリーナ(SSA)の2日間公演に行ってきました。会社年休とって、初心者にしては思い切ったアリーナ席(スタンディング席)、BABYMETALのファンの間では「モッシュッシュ・ピット」と呼ぶエリア。もみくちゃになって体をぶつけあうモッシュから、輪になって走るサークルモッシュ、ダイブやらサーフやらの肉弾戦が繰り広げられ、全身の汗が涸れるまで噴き出す過酷な現場。ロックコンサートにすらほとんど行ったことのない52歳のおっさんにとっては全てが初体験ながら、そりゃー楽しくて、無茶苦茶盛り上がって帰ってきたら、そんな父親を母と娘がひんやりした空気で迎えてくれました。冷たい視線を頬に感じながら、興奮冷めやらず今日はその感想を少しだけ。いや、本当に少しだけ。BABYMETALを知らない人には全くちんぷんかんぷんな記述が続きますし、あと、こういうライブ空間に慣れていない素人の妄言がずらずら並ぶと思いますんで、冒頭からお詫びしておきます。ごめんなさい。


会場の外ではメイトさんたち(BABYMETALのファンのこと)が色んな場所で交流会をやっていて、「いばらきメイト会」の人たちが集合写真を撮っていたりした。


コスプレした子供たちとコープス・コスチュームのお兄さんたちが仲良く写真を撮り合っていたり。


外見はホネとか死神なのにとても和やかな雰囲気。


それにしてもベビメタコスプレってのは黒髪の日本人女性にすごく似合うと思う。

お客様の中には外国人の方も多くて、一日目はドイツから来た、という青年たちと、二日目はテキサスから来た、というメキシコ系アメリカ人のお嬢さんたちとちょっとお話することができました。ドイツから来た青年たちは、ドイツ国内でやったBABYMETALのライブを5公演見た、と言っていて、俺よりよっぽどメイト歴長いじゃん、と思いながらお話。ドイツではかなりコアなファン層が多いようです。アメリカ人のお嬢さんたちは、日本観光がてら、いいロックコンサートないかな、と調べたら、BABYMETALと日程がばっちり合って、チケット取ったそうです。大きなスーツケース抱えて成田から直行して、コンサート終わったら深夜バスで大阪に行って観光なんだ、と元気に言っていた。すごいなぁ。

私が普段関わっているオペラ舞台というライブ舞台の前提になっているのは、オフマイクの生声で会場を鳴らす、ということ。従い、自然とお客様と共有できる時空間に限界が出てくる。東京の代表的な大規模オペラ会場である上野の東京文化会館で、約2300席。それに比べて、さいたまスーパーアリーナが、約37000席。そういう大規模会場の空間を支配するには、当たり前だけどPAの力が必要になるし、大規模モニターや色んな大きな仕掛けが必要になる。逆に言えば、パフォーマーの歌唱力とか演奏力以外の技術や工夫で、大きな空間を埋める必要がどうしても出てくると思うんだよね。アイドルの数で空間を満たすAKB系やジャニーズ系のパフォーマンスとかさ。同じアミューズ系の3人ユニットであるPerfumeのコンサートが、超未来的なビジュアル技術と3人の完ぺきなダンス技術の見事なシンクロで支えられているように、パフォーマーの力を支えたり増幅する仕掛けが必要になる。

でもBABYMETALのパフォーマンスってのは、本来の人間の肉体が生み出すパフォーマンスで勝負する要素が大きい気がするんだよね。さすがにTOKYODOMEのパフォーマンスでは規模が大きすぎて、UFOみたいな舞台装置を構築したり、観客のコルセットを光らせたり、すごく仕掛けが大きかったけど、今回のSSAの舞台セットはあえてシンプルになっていた気がした。KATATEで、モニターに映された3姫の腕の動きに合わせて炎がなびくシンクロ映像とか、最新技術が盛り上げた部分も一部はあったけど、電気技術は3姫と神バンドの身体が生み出すパフォーマンスをサポートする部分に徹していて、37000人を引っ張っていくのはあくまで、パフォーマーの肉体。そういう潔さがすごく好き。


会場内は撮影禁止ですよ。ごめんなさい。

その中でもSU-METALのカリスマ性と歌唱力には語る言葉もないんだけど、一日目のステージでは、後半にどうも音響のトラブルがあったみたいで、打ち込み音源とギターのピッチとSU-METALの音程がシンクロしない部分が結構あった。そういうときに、すぅさんはピッチを高めに取るんだね。ただでさえハイトーンで発声が相当きついと思うのに、それをさらに上に取ろうとする。トラブルを必死にカバーしようとするその姿が健気で、一日目が終わったところで52歳のおじさんはすっかり父親目線で、「二日目はトラブルがありませんように、すぅさんの声帯にダメージが残っていませんように」と真剣に祈りながら帰宅。

二日目は、機材のトラブルも全くなく、すぅさんも絶好調で、「紅月」を完ぺきに歌い上げたところでオジサンはすっかり涙目。なんか、浅田真央さんがトリプルアクセルを決める時のようなカタルシスと共通する部分があって、要するに父親目線で見てしまうんだよね。長いSing Alongもそれほどなく、神バンドのソロも短めで、その分3姫のパフォーマンスの力でぐいぐい持っていく力技のセットリスト。個人的にはSing Alongで盛り上げるより、シンプルに曲のメッセージが届くKARATEのパフォーマンスが好きだったので、今回それが復活してまた涙目。

多分、ももクロのファンのモノノフさんたちや、他のアイドルファンの方たちが感じるのと同じような気持ちなのかもしれないけど、色んなトラブルに襲われながらも、それでも高いクオリティのパフォーマンスを届けようと全力で戦う姿に、とにかく応援したくなるんだよね。そういう応援団を増やすことって、パフォーマーにとってはとても大事なことなんだろうなぁ。スポーツ選手もそうだし、どんな芸術家もそうだけど、自分の表現に対してどこまで真摯に向き合うか、どこまで真剣に高みを目指すか、という姿勢があって、その姿勢に感動したり共感するところから、「応援団」が増えていく。自分のパフォーマンスに対して不真面目だったり、中途半端だったりしたら、「応援団」は自然に消えていく。自分がベストのパフォーマンスを出せない、と悩んだ末に卒業を決めたお姉さん同様、SU-METALの妥協しない姿勢がガンガン伝わってきて、何があってもこの人の行く先を見守りたいなぁ、と心底思いました。次のイベントは、SU-METALの生誕祭=成人式らしいんだけど、そうか、すぅさんも20歳かぁ。初めてBABYMETAL知った時にはまだ3人とも高校生だったんだがなぁ。ひょっとしたら3人とも有権者か。ますます父親目線で見守ってしまうなぁ。