娘の学校のオーケストラ定期演奏会

娘が学校の音楽部音楽班という所に所属してチェロを弾いています。音楽班というのは器楽をやるパートのことで、音楽部合唱班というのと2つに分かれている。今日、その音楽班の定期演奏会があるというので、女房と二人して聞きに行ってきました。

娘の部活動の様子を聞いていると、さすがだなあ、思うことが何度もあります。娘の学校は仙川にある女子校で、同じ敷地内に小澤征爾を輩出した有名な音楽専門学校がある。娘の通っているのは普通科ですが、それでも、クラシック器楽をやる環境は敷地内に完璧に整備されている。学内の備品として貸し出される楽器の数、練習場所、と言ったハード面ももちろんですが、指導者に学内の音楽大学教授である関田英二先生がついている、というところがもうすでに半端なく恵まれている。

私も女房も、一つの演奏会を実現する、というのは、それ自体沢山の希少なソフトの集積で成り立つイベントであることを知っています。だから、そもそも会場が調布駅前のグリーンホールだ、というのを聞いただけで、さすがだなあ、と思ってしまう。いくら地元だからと言ったって、そんなに簡単に取れる会場じゃないよ。

会場の入場整理をしているスタッフの先生方の動きを見ても、楽器搬入の段取りなんかを娘から聞いても、パフォーマンスアートの育成集団としてのソフトとノウハウの集積を感じることができる。感心しながら開演。

以前にもこの日記で書いたかもしれませんが、娘の学校の音楽部音楽班というのは、学内最大の部で、中高合わせた部員数は総勢162名。ヴァイオリンだけで48人いる。第一ヴァイオリンは8プル、ヴィオラでさえ6プルだよ。ステージを埋め尽くす弦パートにとにかく圧倒される。


数人でいいから分けてちょうだいって。

これだけの人数を束ねて行くのは大変だろうと思いますが、冒頭のアラヴァマー序曲から、メインの「新世界より」まで、端正で丁寧なパフォーマンス。生徒さんの日頃の鍛練の賜物でしょうが、やはり関田先生や長谷川郁子先生をはじめとする指導者の力も大きいんだろうな、と思いました。アルヴァマーも新世界も、文化祭の時に聞いたより数段クオリティが上がっていて、この演奏会に向けた生徒さんの気迫を感じました。

音楽班にとって、この3月の定期演奏会は幹事学年の高校二年生の卒業イベント。娘の学校は各学年に学年色というのが決められていて、高校二年生の色は赤。演奏会も終盤になってくると、卒業する赤の生徒さんも、下級生たちも、これで最後、という思いが迸ってきて、一種異様な雰囲気になってくる。新世界よりの最終楽章あたりになると、あっちこっちで生徒さんたちが涙ポロポロ流しながら弾いている。それでも大きな破綻なく、丁寧にまとめ上げた演奏には聞き応えがありました。管がむつかしい曲だと思うのに、アングレの長いソロ含め、ほぼミスノートなしに仕上がっていて、本当に素晴らしかった。下手なアマチュア社会人オケより絶対上手だ。だからガレリア座手伝ってくれませんかね。数人でいいんで。

文化祭の時の感想にも書きましたけど、中高生の真っ直ぐな感動をそのまま豪速球の直球で投げ込まれたような感じで、女房ともどももらい泣きしておりました。それでも、頑張った私たちを見て!みたいな自己満足でもなく、分かってくれなくったっていいさ、好きにやるから、みたいなコミュニケーション不全でもない、客席に精一杯を届けようとする誠実さと、それを支える長い歴史に培われた大人のノウハウの完成度に感動した演奏会でした。なかなかこういう演奏会をできる学校は少ないと思う。

娘は初めてのオーケストラ演奏会、本番だけでなく、楽屋での友達とのおしゃべり含めて、とっても楽しかったみたいです。ますますチェロが好きになった、と言って、次の新人歓迎演奏会に向けて気合を入れておりました。この4月には初めての後輩達が入学。憧れの先輩になれるように、頑張らないとね。