ありがとう、と言いながら消えた命のこと

FACEBOOKで、気仙沼で発見された携帯に残された最後のメッセージ、というのがシェアされていました。14歳の妹さんとともになくなっていた17歳のお姉さんが、お父さんに送ろうとしたメールだそうです。このブログに転載するのはいろいろ問題がありそうなのでやりませんが、メッセージの最後は、「お父さん今までありがとう、大好きなお父さんへ、本当にありが」と結ばれています。

同じようなお話を思い出す。迫りくる津波に追われて、手を取り合って建物の上へ逃げた老夫婦に、さらに津波がどんどん駆け上がってくる。最期を覚悟したご夫婦は、お互いに言い合ったといいます。「お父さん、お母さん、今まで本当にありがとう」。波は奥さんを飲み込み、生き残ったお父さんが語った話、として、テレビで紹介されていました。

人間、いかに生きるべきか、という命題は、人間、いかに死ぬべきか、という命題にも通じる。震災の中で、残りの人生を突然奪われるその瞬間に、苦痛の真っただ中から、人への感謝の言葉を残しながら逝った人たち。そんな崇高な言葉たちのことを、僕らは生きている限り、ずっと伝え続けなければならない、と、あらためて思いました。