戦争映画撮らせたらアメリカにはかなわんわなー

コンチネンタル航空のシートTVで見た映画の一覧です。

・Battle:Los Angels
宇宙戦艦ヤマト
ゼロの焦点
・Rango

あと、The Adjustment Bureauも見たんだけど、字幕なしだったので話がよく見えんかった。いかんなぁ。

Battle:Los Angelsは、なんだかプライベート・ライアン宇宙戦争を足して二で割ってインディペンデンスデイを振りかけたような話で、全編米国海兵隊万歳、みたいな映画でした。戦う敵が分かりやす過ぎるくらいにグロテスクで、全員プレデターみたいな感じなので、戦いの理由に悩む必要も全くなし。でもそれがこれだけお金をかけて立派な映画になっちゃう所が、さすが軍事大国米国って感じがする。というか何よりも、いまだに世界各地で実戦重ねてる国だから、戦闘シーンとか兵士の感情表現とかにものすごくリアリティーがあるんだね。戦地で部下を死なせた上官の苦悩とかも、実体験に沿った重みがある。

映画っていうのはあくまで現実ではないのだけど、現実世界の出来事というのはどうしても映画に反映してくる部分がある。それを実感したのが平成ガメラシリーズで、怪獣に蹂躙された街を救援する人たちの描写とかは、阪神淡路大震災の実体験がなければ、あれだけリアルに表現できなかったのじゃないかな、と思います。昭和29年版ゴジラが、当時の人々を震え上がらせるリアリティを持っていたのも、東京大空襲ヒロシマナガサキの記憶が新しかったからだと思うし。

そういう意味で、宇宙戦艦ヤマトで描かれる戦争っていうのは実にチャラいんだよねぇ。ビデオゲームの中で繰り広げられる戦闘にしか見えない。チーム古代でがんばるぞ、おー、なんてのも、なんだか甲子園目指して次の決勝戦ガンバロー、くらいの重みしか感じないしなぁ。部下を見殺しにした心の傷、という、Battle:Los Angelsと同じテーマが取り上げられているのに、軽い軽い。

とはいえ、ヤマト世代の私としては、色々と急所をくすぐられる部分はあり、それなりに楽しみました。徳川機関長と真田さんがよかった。沖田艦長はちょっと狙いすぎだったかなー。あ、もちろんデスラーさんとアナライザーさんも。

ゼロの焦点は、女房も見てて、「中谷美紀木村多江もなんだかおなかいっぱいだよ」との感想。確かに、広末涼子も含め、3人のキーになる女優さんたちが、あまりにもハマり役で、自分たちの守備範囲で演技している感じはありましたけどね。狂気・薄幸・清純、と簡単に表現できそうな。

とはいえ、犬童一心さんという監督さんは、「死に花」で泣かされた経験があって、非常にしっかりした映画を撮る監督さん、という印象があります。実際、ゼロの焦点でも、無駄な説明や感情吐露を排したシンプルな脚本に力があって、日本映画ってこういう表現に強いんだよなぁ、と思う。日本が戦争映画が苦手なのは、戦う理由を説明しないといけないからで、そういう説明とかを一切排して、ただ、「マリー!」という一言で相手の心を破壊してしまう女の戦いの方が、よっぽどリアリズムを感じるんだよね。

Rangoは、ジョニー・ディップが声優さんをやる、ということだけで随分話題になっていますけど、カメレオンの自分探しの旅、という象徴的な物語と、舞台になる砂漠の街の世界観がしっかりしていて、結構面白かったです。基本はアメリカ的な悪趣味キャラクターの活躍するお話で、感情移入できるキャラクターがいなくてちょっと困るんだけどね。いわゆるCGアニメなんかでも、ディズニー/Pixarだけじゃないんだなぁ。Rangoの場合は、どうもILMが噛んでるみたいだったけど。子供向けアニメだと思うとちょっと間違うかもしれないくらい、結構大人向けのファンタジーになっています。