「南の島のティオ」〜みんな見に来てね!!〜

「南の島のティオ」Act2の舞台が今週末に迫ってきました。23日(日)には、近所の公民館で通し稽古。演出家(うちの女房)と細かくディスカッションをしながら、言葉のアクセント、音楽とのタイミング、立ち位置やアクションを決めていく。そういう中で、「これだ」というタイミングを見つけていくのが楽しい。

通し稽古でも、想定外のトラブルや、設計図通りにいかない部分なども出てきて、これを本番でどう修正していくか、という課題が残る。でも、課題は必ず残るものなんです。まったく問題なく、完璧な練習ができて、完璧な状態で本番を迎えて、それがそのまま完璧に再現できる、なんてことはありえない。それが、「舞台」という、リアルタイム性の中でしか成立しないパフォーマンスの宿命と魅力。

先日、教育TVを見ていたら、グレン・グールドが、何通りものピアノ演奏録音をつぎはぎに編集して、一番いい組み合わせを最終版としてレコードに仕上げていく、という作業をしている様子が流れていました。レコーディングとか、映画その他の映像美術っていうのは、「編集」と「再生」ができるからね。舞台はそうはいかない。

今回も、演出家が見つけてきてくれた音楽(前回同様、栗コーダカルテットの曲を中心とした選曲)が、各場面にぴったりハマって、実に心地よい。前回も思ったのだけど、自分でもいい感情移入とタイミングで朗読できたなぁ、と思う時って、音楽の展開とタイミングが完璧にシンクロするんだね。朗読の盛り上がる部分で、曲が大きく展開したり。そのために書かれた曲、としか聞こえなくなってくる。

そして、ガレリア座のH君のイラスト。前回は初演、ということもあって、H君自身、どういうアプローチで行くか、試行錯誤があったようなんだけど、今回は最初から軸がぶれてなくて、素晴らしく「ティオ」の世界にマッチしている。素敵なイラストばっかりです。朗読者がヘロヘロになっちゃったら、イラストだけでも楽しんで帰ってくださいね。

今回も、全体のトーンが一本調子にならないように、とか、お客様が飽きないように、と、いろいろと工夫を重ねているのですけど、一番大変で、一番楽しいのは、第二部「十字路に埋めた宝物」というお話で、一人8役を演じること。この8つの役を、声色や、しゃべり方の癖や、音程などで演じ分けていく。演出家と話しながら、「もう少し高い声にしてみようか」とか、「ちょっと間延びしたしゃべり方で」とか、いろいろと試行錯誤するのが楽しい。

面白いのは、「これだ」という声の色やしゃべり方が決まった瞬間に、「ああ、この人はこういう性格なんだ」というのがはっきり見えてくること。本当は逆のはずなんですけどね。この人はこういう性格で、こういう体型で、こういう素性で、だから、こういう声、しゃべり方、という風に決めていくのが本来。そうなんだけど、逆に、形から入るアプローチもあるんだと思います。声を出した瞬間に、「これだ」と思うと同時に、その人の普段の表情や、生活の様子まで、さぁっとイメージされてくる瞬間。それがすごく楽しい。

夏休み最後の日曜日ということで、お客様がどれくらい集まって下さるか、というのも非常に不安だったりするのですが、多摩近辺にお住まいの方は、選挙に出かけるついでに、ちょっと調布駅前まで足を伸ばしてみてください。もちろん、多摩エリア外の方も、素敵な夏休みの思い出になること間違いなしです!第一部は11時から、第二部は14時から、調布市文化会館たづくり8階の映像シアターにて、お待ちしております!