大久保混声合唱団演奏会「あやとりの記」〜裏方の喜び〜

土曜日、大久保混声合唱団の久しぶりの演奏会「あやとりの記」をステマネとしてお手伝い。スタッフにも恵まれ、本当にいい演奏会を、裏方としても思い切り楽しむことができました。

今回の演奏会は、大久保混声合唱団のこれまでの定期演奏会と比較すれば、ちょっとこじんまりした会場とこじんまりしたステージ構成。でも、この演奏会にたどりつくまで、団員の皆さんは本当に苦労されたようです。ここ数年、大久保混声合唱団にとっては本当に激動の期間でした。女房が団員であり、裏方としてずっと手伝ってきた身でもあり、そして何より、大久保混声合唱団の歌声のファンの一人として、この数年間、この合唱団はどうなっていくのだろう、どこに向かっていくのだろうと思いながら、かといって何もできるわけもなく、ただ見守るしかなかったのですけど・・・

そして迎えた演奏会、こじんまりしたステージ構成も、こじんまりした会場も、かえって演奏曲のクオリティを高めたみたい。お客様の反応も本当によく、団員さんも集中力をどんどん高めていって、第三ステージの「あやとりの記」は、練習でも一度も聞けなかったような澄み切った音が出ました。女房とも言い合っていたのだけど、色んな意味で、「ちょうどいい」感覚のする演奏会。以前あったような大規模な演奏会みたいに、団員の皆さん全員が疲弊しきって舞台裏に戻ってくるようなこともなく、演奏会終了後の皆さんの表情が明るいこと。打ち上げの席でも、「次はこれをやりたいね」「今回はあの曲を仕上げ切れなかったけど、次までには絶対もっといい演奏をしたいね」とか、ものすごく前向きな声が一杯聞こえてきて、それも嬉しかった。

個人的には、サポートについてもらったSさん(男性)の過不足ない完璧なフォローと、私のつたない(30分間のやっつけ仕事の)アナウンス原稿を、透明感のあるそつのないナレーションで聞かせてくださったSさん(女性かつ美人)のおかげで、裏方として非常に満足できる仕事をさせてもらいました。リハーサルの時、他に聴衆が全くいない客席で、「あやとりの記」の間奏曲を聞く、という至福の時間を過ごせたのも、嬉しかったなぁ。

前にもこの日記にちらっと書いたけど、舞台の裏方、という仕事をしていると、なんとなく、関わっているその舞台の出演者の皆さんが、自分の子供のように愛おしくなってくるものです。演奏がうまくいくだろうかどうだろうか、とドキドキしながら、その演奏を支える段取りを一つ一つこなしていく。裏方にできるのは、出演者が辿る道筋をきちんと示すことだけ。あとは、出演者が、舞台上でスポットライトを浴びて一人で奮闘している姿を見守ることしかできない。子供の生きる道筋を示しながら、ただ見守るしかない親のように。お客様の拍手やブラボーの声が、わが子が浴びているように嬉しい。

そして何より、演奏が終わった後、出演者の皆さんが本当に嬉しそうに、「いい演奏会だったねぇ」って笑い合ってる姿を見るのが、裏方としては本当に嬉しい。「ちりとてちん」で、「喜代美が笑うたぁ」と大喜びしている糸子お母さんのように。本当に他愛ないもんですけど、裏方の喜びってのはそういうもんです。