合唱曲と朗読のコラボレーションって、やっぱり楽しい

日曜日、大久保混声合唱団でお世話になっている辻志朗先生の指揮されている女声合唱団、コール・サファイアとコール・キルシェのジョイントコンサートの練習にお邪魔。

志朗先生の指導されている女声合唱団とのコラボレーションは、これで3度目になります。1度目も、コール・サファイアの演奏会で、「パウラ」という磯部俶さんの合唱曲のナレーション部分をやりました。2度目は、アマトーリ・ディ・ムジカという合唱団の演奏家で、「ノクターンの旅人たち」という、金井信さんの合唱曲のナレーションを担当。

ノクターン」の時にも書いたのですけど、合唱曲と朗読のコラボレーション、というのはすごく面白いです。合唱組曲で一つの物語を語っていこうとする時に、曲だけでは語りきれないストーリや背景を朗読が補っていく。朗読者と合唱団が、時には物語の語り手になり、時には登場人物になり、役割を交互に入れ替えながら、一つの物語を綴っていく。演じる側が、合唱団の演奏に感動して、さらに演技のテンションが上がったり。そういうお互いのキャッチボールの感覚がすごく楽しい。

今回は、やはり金井信さんの「愛は波の彼方に」という女声合唱曲が素材。今までの2回は、元の合唱曲に掲載されているナレーション原稿を朗読する、というものだったのですが、今回は、志朗先生から、「演奏効果を高めるために、全くオリジナルの物語を作って、その物語に沿って、曲を演奏していく、という舞台にしたい」とのオファー。これは楽しそう、と、二つ返事で引き受けました。

いくつかのストーリを作り、団員さんや志朗先生とディスカッションしながら、「このストーリで行こう」と決める。その上で、さらに推敲を重ねて、最終形を作りあげ、実際の合唱団の演奏と合わせてみて、少しイメージがずれる部分を、演技に反映させていく。この過程のキャッチボールも楽しい。志朗先生から、「少しピアノ伴奏と朗読を重ねてみましょうか」というアイデアが出されたりして、その部分がまた、とてもいい感じに仕上がったりする。こういう過程って、「舞台を一緒に作っている」という実感があって、とってもいいんだよね。

「愛は波の彼方に」という曲は、風戸強さんのロマンティックな歌詞と、金井信さんの親しみやすい美しいメロディーラインを持つ、とてもきれいな曲。合唱団の皆さんも、とても楽しげに、パワフルに歌ってらっしゃいます。朗読者としては、合唱団という多人数に一人で相対するわけですから、そういう合唱団のパワーに拮抗するだけのパワーを一人で出さないといけない。とはいえ、あくまで朗読者というのは脇役で、主役は合唱団ですから、音楽・曲の持つ感動を増幅させるような演技を心がけないといけない。合唱団の楽しそうな雰囲気を壊さず、あまりしゃしゃり出ることはせず、オリジナルの物語とはいいながら、曲の持つ魅力を邪魔することのないように・・・というバランスが、かなり難しい。

練習の録音を聞いてみると、無駄に子音に力が入っている部分とか、妙に間が多くて間延びしてしまっている部分とか、まだまだ改善の余地がある。合唱団の皆さんの足を引っ張らないよう、素敵な舞台になるように、精一杯演じたいと思います。本番は8月12日(日)、14時30分から、会場はルーテル市谷センターです。当日券もあると思うので、もしお暇な方、よければ足を運んでみてください!