ラ・ムジカ・フェニーチェ 林 美智子 リサイタル〜大輪の花〜

週末、例によってばたばたと過ごしました。おいおい書いていくとして、とりあえずの活動リスト。

金曜日、ラ・ムジカ・フェニーチェのサロンコンサートに、林美智子さんのリサイタルを聞きに行く。大輪の花。
土曜日昼、7月のGAG公演の下打ち合わせで、美術のYくん交えて打ち合わせ。楽しくなりそう。
土曜日夜、大田区民オペラ合唱団の練習。子音が立たなくて大汗をかく。
日曜日昼、歌のレッスンへ。久しぶりのレッスンだったけど、また新しい発見がある。

今日は、なんとも華やかな気持ちにさせてくれた、林美智子さんのリサイタルのことを。
 
私の歌の師匠の山口悠紀子先生が主催されている、ラ・ムジカ・フェニーチェのシリーズで、今まさに売り出し中の林美智子さんが出演される、というので、家族3人で見に行きました。カルメンの曲や、ケルビーノのアリアなど、娘の知っている曲もたくさん出てくる、というので、これなら大丈夫だろう、と踏んだのです。

会場はほぼ満席。会社帰りの私がギリギリに着いた時には、娘も女房も既に席に着いていた。見ると、娘はちょっとしょげている。いつも練習会場にお邪魔している大田区民オペラ合唱団の方々が、娘を見て、「あら、よく来たわねぇ」と皆さん声をかけてくださるものだから、恥ずかしがりやの娘は照れくさくってちょっとしょげちゃったんだって。なだめながら、開演。

ラ・ムジカ・フェニーチェの魅力は、今をときめく一流の歌手が、本当に聴衆の目の前で歌ってくれる距離感の近さ。林さんが舞台に現れた途端、目の前で大輪の花が咲いたような、ぱぁっと華やかな光が散ったような、暖かな空気で会場が満たされたような気分に。上背があるのに、お顔がとっても小さくて、可愛らしくって、何より、笑顔が本当にキュートな方です。

前半は日本歌曲。「この道」「待ちぼうけ」「赤とんぼ」などのスタンダードナンバー。スタンダードなのだけど、そこはさすがに一流のオペラ歌手。1曲1曲を実にお洒落に、芝居っ気たっぷりに「演じて」いきます。「この道」をたどる視線の動き、目にしたものに揺れ動く心。目からビームが出ているような、説得力ある視線。「待ちぼうけ」の場面が目の前に展開するような演じ分け。「赤とんぼ」のラストの処理には、会場のお客様が一斉にため息をつくような、実に美しい演技で、歌の世界を十分に楽しませてくれました。

数日前に、大きな演奏会の本番を終わられたばかりで、疲れもたまっていたのでしょう、後半のオペラの定番(「カルメン」「デリラ」「ケルビーノ」)では、少し単調になった感じもしました。それでも、妖艶でありながら、どこかしら少女のような純粋さも表現した舞台の説得力は素晴らしかった。アンコールの「小さな空」は絶品。本当に自然に、本当に何一つ余計な色気を加えない歌唱。それなのに、その純粋な音楽が、胸にこれだけ響くのは何故だろう。帰り際、「シンプルにただ歌っているだけなのに、いい『小さな空』だったねぇ」と女房に言うと、「本当に何もやっていないわけじゃなくって、ものすごく色んなことを計算して計算してやっているんだよね。それなのに、結果としてはものすごく自然に、シンプルに見える。そこがすごいよねぇ」と感心していました。

本当に体調もお悪かったらしく、点滴を受けての舞台だったそうなのですが、お客様の一人ひとりにしっかり舞台を「魅せる」、そのオーラと存在感、それを支えるテクニックに感動。やっぱり、一線で活躍している方はすごいです。可愛らしくって品のいい雰囲気が、菅有実子さんにちょっと似ているなぁ、と思った。いやぁ、やっぱり歌は美人が歌うのに限るやねぇ。