「のだめカンタービレ」、盛り上がってきたねぇ

毎週女房と欠かさずチェックしている「のだめカンタービレ」、昨夜の回はずいぶん盛り上がったなぁ。ブラームスの1番という楽曲のテーマと、それぞれの登場人物が、将来への苦悩や不安を克服していく過程をシンクロさせていく構成の妙。のだめがブラ1に感動して、千秋くんの心の傷を取り除いてあげようと決心するところとか、千秋くんがのだめのおかげでトラウマを克服するシーンなんか、思わず女房と一緒に涙してしまった。年を取ると涙もろくなっていかんねぇ。

いわゆる「月9」枠、ということで、フジテレビが総力を挙げている、というのもあるのだろうけど、細かいところで、原作へのこだわりだけじゃなく、すごくこだわった作りになっているところも好感。「プリごろ太」のアニメを実際に製作しちゃったり、おなら体操の曲と振り付けを作っちゃったり、原作を読んで、「これ見たいなぁ」と思っていたものが実現されていく面白さ。前の日記にも書いたけど、衛藤凛さんという脚本家をはじめ、この番組のスタッフ、タダモノじゃない。

役者さんも素晴らしくて、福士誠治さんが黒木くん役で出てきたときには、「まさに武士!」と感動。上野樹里さんのピアノ演奏がずいぶん達者なのについては、以前もこの日記で書いたのだけど、昨日の放送を見ていて、玉木宏くんの指揮ぶりが随分上達しているのに、女房ともども感心する。以前、ベートーベンの7番を振るシーンでも、素人の割には結構ちゃんと振れてるねぇ、という話をしていたのだけど、ブラームスでは曲想に合わせてきちんと楽器に対してアイコンタクトを出している。これは相当練習したんだろうし、指揮のトレーナーさんともども頑張ったんだろうなぁ。

福士さんも、きちんとオーボエの運指を再現しているし、桜ちゃん役のサエコさんも、コントラバスの運指をきちんと演じている細かさに感心。どの役者さんも演奏シーンの演技については随分頑張っている。都響が全面協力しているらしいんですけど、こういうのを見ると、だいぶ前にこの日記に書いた、役者の身体表現への回帰、というテーマを思い出します。「ウォータボーイズ」のシンクロ、「スウィングガールズ」のビッグバンド実演、「シコふんじゃった」の相撲シーン・・・演じる役者さんが、自分の演じる役の「身体表現」を、吹き替えなしで実際に挑戦していく、その姿自体が一つのパフォーマンスとして感動を与えてくれる。

クラシックおたくも注目しているだろう、という製作方の緊張感もあるんでしょうが、こういう細かいところで手を抜かないことも、このドラマの完成度を高めている気がします。随分昔に、大映ドラマで、木村一八さんが「天才指揮者」の役をやったドラマがあって、木村さんが3拍子の曲を思いっきり4拍子で指揮していた、というシーンがあって、音楽愛好家の失笑を買ったりしていたのとはだいぶ違う。もちろん、大映ドラマには大映ドラマの「別のこだわり」があるので、こういう部分を比較しちゃいかんのですが。

ドラマに限らず、ものづくりの質を向上させるのは、こういう細部へのこだわりだと思う。上野のだめちゃんと、玉木千秋くんが、それぞれのトラウマを克服していく今後の過程を、ドラマを彩る音楽とともに、これからも楽しんでいきたいと思います。それにしてもブラームスの1番って、ほんとに辛気臭い曲だよねぇ。20年も悩まなくってもいいじゃんねぇ。