CANTUS ANIMAE 第8回定期演奏会

この週末はかなりのインプットがありました。例によってリストアップして、ぼちぼち書いていきます。

山本周五郎の短編集「つゆのひぬま」を読了。ただただ涙。
・土曜日、大田区民オペラ合唱団で、大田区の合唱祭に出演。やっぱり舞台はいいなぁ。
・日曜日、CANTUS ANIMAEの第8回定期演奏会を聴きに行く。
・録画してあった「妖星ゴラス」を見終わる。やるならここまでやらなきゃ。
・BSで放送していた「マリツァ伯爵夫人」を途中まで見る。やるならここまでやらなきゃ。

今日は、日曜日、浜離宮朝日ホールで開催された、CANTUS ANIMAEの演奏会の話を書きます。
 
指揮:雨森文也
パーカッション:高梨晃、ピアノ:あずまみのり
 
曲目:
 ①ルネサンス宗教曲集
  ・アヴェ・マリアAve Mariaジョスカン・デプレ
  ・世の救い主 Salvator mundi/タリス
  ・天の后、喜びたまえRegina caeli laetare/イザーク

 ②三つの合唱曲「Tre Composizioni Corali/ピゼッティ」

 ③みみをすます〜 混声合唱と打楽器のための 〜(委嘱作品再演)
   谷川俊太郎 作詩/堀内貴晃 作曲

 ④合唱組曲 五つの童画
   高田敏子 詩/三善晃 作曲
 
という内容でした。
 
松山の合唱コンクールのCDを聞いて、女房に、「日本の合唱曲をもっと聴いてみたいなぁ」と言ったら、「CANTUS ANIMAEというすごい合唱団があるから、一度聴いてみたら」と推薦され、聴きに行ったのです。CANTUS ANIMAE(以下、「CA」)のHP(→http://www.cantus-animae.net)を覗くと、実に折り目正しい、合唱という表現形態に対してまっすぐに取り組んでいる真摯な姿勢が読み取れます。その演奏も、期待に違わず、実に端整な、折り目正しい演奏でした。

最も心に残ったのは、第一ステージのルネサンス宗教曲集でした。クリアな響きでありながら、本当に楽しげに、まさしく自家薬籠中、という感じ。こういう曲がこれだけ生き生きと表現できる合唱団、これはタダモノではない、と、まず姿勢を正す。

第二ステージの三つの合唱曲は、少し荒っぽい出来だったように思いましたが、第三ステージの「みみをすます」が、これも実に完成度の高い演奏。日本語の響きの面白さ、美しさを存分に味あわせてもらいました。

全体に、とても真面目な、真っ直ぐな演奏。そういう真面目さが、聴衆に訴えるのでしょうか、観客と演奏者の間にとても親密な空気が漂っていました。団内結婚が2組できた、なんて話を雨森先生が最後にされていましたが、団員同士の雰囲気も和やかで、にこやかな雨森先生のお人柄をそのまま映したような、家族的な雰囲気の演奏会でした。

第二ステージや、第四ステージあたりで、パートごとの「テンションのダイナミクス」のようなものが、ちょっとそろっていなかったような感じがありました。この合唱団は女声の色合いやパワーが美しくかつ力強い。男声もしっかりといい音色で鳴っている、そのバランスが取れた時に、ぞわっとくるようないい音がする。でも、女声のテンションが、どどっと上がった時に、男声がそこまで「自分を捨て切れてない」ような感じ。どこまでも端整に鳴っていて、そのアンバランス感が、曲の山場の感動を削いでいるような、ちょっと残念な感じがしました。大久保混声合唱団が演奏した「五つの童画」とか、多少粗っぽくても、どどっと鳴ってくる迫力と繊細なピアニッシモのダイナミックレンジの広さで、体ごと持っていかれるような感動がありましたけど、そこまで行かない。

なんて偉そうなことを言ってますが、私ごときの耳で言ってることですから、全然あてにしないでくださいね。演奏のクオリティは無茶苦茶に高いです。浜離宮ホール、という、観客と舞台の距離が近いこともあり、演奏会は終始、華やかでありながら温かい。ステージマナー、という点では、20名程度の団員さんが舞台上でちょっと迷子になっていたり、そんなに段取りのいい「ピシッとした」合唱団ではない感じでしたが、演奏は実に「ピシッとした」演奏。そんな団員さんの一人ひとりに向けられたお客様の拍手が本当に心がこもっていて、なんとも居心地のよい時間を過ごさせてもらいました。世の中には、すごい合唱団が一杯あるんですねぇ。CAの皆様、雨森先生、本当に素敵な時間を、ありがとうございました。